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<第104回全国高校野球選手権岩手大会:盛岡中央3-2花巻東>◇23日◇準決勝◇岩手県営
強力・花巻東打線相手に完投し、盛岡中央を14年ぶりの決勝に導いたプロ注目右腕・斎藤響介(3年)。ここまでの4試合すべてに登板し疲労が溜まる中、この日も圧巻の投球を見せた。
初回は先頭・宮澤圭汰(3年)にいきなり安打を許すも、2番・渡辺陸(3年)は落ち着いて併殺打に打ち取る。走者がいなくなり、打席には対戦が注目されていた佐々木麟太郎(2年)。「オーラがあって、怖い部分もあった」。147キロの直球をはじき返され、最初の勝負は佐々木に軍配が上がった。「(序盤は)球がシュート回転していて安定しない部分があった」と振り返るように、続く4番・田代旭(3年)にも四球を与えるなど、無失点で切り抜けたものの完璧とは言えない立ち上がりだった。
それでも修正能力を発揮し、2、3回は三者凡退。140キロ台中盤の直球と変化球を駆使し、試合の流れをつくった。4回は佐々木、田代を抑えるも5番・小澤修(3年)に被弾。5回にも失点し、同点とされた。相手に流れを渡しかけたが、7回に味方打線が勝ち越すと、140キロ台前半に落ちてきていた球速が再び上昇。「最後はギアを上げて全力で投げた」との言葉通り、花巻南戦で計測した150キロ台は出なかったものの球威のある直球で凡打の山を築いた。
7回、走者を置いて迎えた佐々木を打ち取ると、8、9回は反撃の隙を与えない投球で三者凡退。終盤はアウトを取るたびにスタンドから大きな拍手が送られ、岩手県営野球場が斎藤のための舞台かのように映った。そして、数々の伝説が生まれたこの球場に、斎藤が確かに歴史を刻んだ。試合後の取材では、「最後まで自分の投球ができた」と充実した表情。この日の投球を「80点」と自己採点した。
佐々木、田代、小澤のクリーンアップを中心に、左の好打者がずらりと並ぶ花巻東打線。「左打者が多いので、インコースの勝負がカギになると思っていた」と語るように、序盤から強気の投球を意識したことも好投につながった。結果的に小澤には本塁打を浴びたが、佐々木には長打を許さず、田代は3打数無安打に抑え込んだ。
花巻東ナインや監督からも斎藤を称賛する声が上がった。佐々木洋監督は「なかなか崩れないすばらしいピッチングだった」と脱帽。5回に適時打を放った渡辺も、「まっすぐも変化球もキレがあって、すばらしいピッチャー」と悔しさをにじませながらもその才能を認めていた。
決勝は25日。一関学院も強力打線を誇るが、「相手も最後まで全力で来ると思うので、自分も負けじと最後まで全力で投げ切りたい」と迎え撃つ準備はできている。その勇姿を甲子園の舞台で見せるべく、頂点に立つその時まで、腕を振り続ける。
(取材=川浪 康太郎)