トーナメント表
・東北大会の勝ち上がり
今年の春季東北地区高校野球大会のベスト4は聖光学院(福島)、弘前学院聖愛(青森)、東北(宮城)、青森山田(青森)。4校とも突出とした能力を持った選手がいないものの、守備、走塁がきめ細かく、チームとしての完成度が高く、試合運びがうまい。
どのチームが決勝に進むのか。12日に予定されている準決勝の見どころを紹介したい。なお、午前中は雨天が予想されるため、準決勝の第1試合は12時半、第2試合は15時の試合開始予定となっている。
ともに守備、走塁のレベルが高く、ハイレベルな試合が予想される。弘前学院聖愛は準々決勝で投手力が高い仙台育英投手陣を攻略した。状況を読める工藤天晴捕手(3年)をはじめ野手のレベルが高く、関東、近畿の学校と比較しても負けていないといえる。エースの葛西倖生投手(3年)は140キロ前半の速球と切れのある変化球で勝負する。準々決勝ではコントロールの甘さが気になったが、どう修正するか。130キロ中盤の速球と切れのある変化球で打ち取る津川 凱投手(3年)も控えている。
一方、聖光学院は準々決勝(秋田商戦)で4安打を放った安田淳平外野手(3年)などミート力が高い野手が多い。エース・佐山未來投手(3年)は本調子というわけではなく、斎藤監督も、佐山が力を発揮できるイニングまで投げさせて、あとは左腕・小林剛介投手(3年)、右アンダースローの小松 桜吏投手(2年)などを投入し、総力戦になる展開が予想される。
打線の状態はよく、5、6点の勝負が予想される。聖光学院、弘前学院聖愛の両チームともに、今夏の大会を前にしたこの春季東北地区大会をどう戦うかというテーマ性を持って戦っている。両校の夏の戦いぶりを占う意味でも面白い試合になるかもしれない。
両チームともに複数投手を擁し、守備は堅い。クリーンナップにスラッガーがいて、正捕手が強肩と、似たチームカラーを持つだけに、接戦が予想される。
東北は制球力の高い小倉 勝貴投手(3年)、142キロ右腕・伊藤 千浩投手(3年)が投手陣の軸。伊藤は初戦で本塁打、花巻東戦でも3安打を記録し、8打数5安打と結果を残している。リードする日隈翔弥捕手(2年)はリードセンスと安定したスローイングを持ち、巧打も光る。一発長打を狙える伊藤以外、全体的にミートセンスが高い打者が多く、伊藤の前にどう走者を溜めるかがキーとなる。
対する青森山田には強力投手陣がいる。技巧派左腕・堀内 友輔投手(3年)のほかに、右腕の馬場 大河投手(3年)、相馬皇士郎投手(3年)、左腕・木村 虎鉄投手(3年)が伸びてきたことで、継投策ができるようになったと兜森監督は語る。そしてその投手陣の持ち味を引き出しているのは正捕手の衛藤 航太朗捕手(3年)。兜森監督は衛藤のリードセンスの高さを高く評価しており、さらにスローイングタイム1.90秒〜2.00秒の強肩も魅力で、相手走者を簡単に走らせない。
打者ではチームで最も打撃技術が高い3番・森川大輝内野手(3年)や、準々決勝でサヨナラ打を放った4番・加藤優内野手(2年)と頼りになる主軸がいる。
東北がエースで4番の伊藤が実力発揮するか。青森山田が粘り強さを発揮するのか。接戦が期待される。
(文=河嶋 宗一)
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