高校時代の長岡 秀樹(八千代松陰)
ヤクルトの長岡秀樹内野手が飛躍を遂げそうだ。長岡は2019年のドラフト5位で指名を受け八千代松陰からヤクルトへと入団した高卒3年目の内野手。昨シーズンまでの2年間では1軍で11試合の出場しかなく、打率.048(21打数1安打)とプロの壁、1軍の壁に跳ね返されていた。
しかし今年は春季キャンプとオープン戦でのアピールがあり、開幕スタメンを勝ち取った。まだ14試合の消化ではあるが、開幕戦での4安打にはじまり、打率.255(55打数14安打)、OPS.582という成績を残している。また守備面では痛恨の失策もあった。それでも昨シーズンは西浦直亨内野手(天理ー法政大・2013年2位)と元山飛優内野手(佐久長聖ー東北福祉大・2020年4位)で争った正遊撃手の座を奪わんとするばかりだ。
ヤクルトの正遊撃手を振り返ってみると、生え抜きの高卒選手が務めることは近年あまりなかった。川端慎吾内野手(市和歌山商→2005年高3巡)が2011年に111試合(出場は117試合)、2012年に83試合(出場は125試合)に守ったのが目立つくらい。
それ以降は他球団から移籍してきた森岡良介内野手(明徳義塾出身)や大引啓次内野手(浪速出身)、そして大卒の西浦、元山が守ってきた。廣岡大志内野手(現巨人/智辯学園・2015年2位)も争いに加わった年はあった。それでも遊撃としては2019年の58試合(出場は91試合)の出場が最多。レギュラーを勝ち取ったことはなかった。
2010年代以前を見ても宮本慎也内野手(PL学園ープリンスホテル・1994年2位)や移籍してきた川島慶三内野手(佐世保実出身)が遊撃のポジションを務めてきた。
複数年にわたってその座を守った生え抜き高卒の遊撃手は、池山隆寛(現2軍監督/市立尼崎・1983年2位)まで遡る。豪快な本塁打が魅力だった池山の全盛期は1980年代の後半から1990年代の前半だ。それからおよそ30年間にわたって誕生していないことになる。
ヤクルトの内野陣を振り返ってみると、一塁が畠山和洋(現2軍打撃コーチ/専大北上・2000年5位)、二塁は山田哲人内野手(履正社・2010年1位)、三塁も村上宗隆内野手(九州学院・2017年1位)と2000年代以降に生え抜きの高卒選手がレギュラーを務めてきた。高卒の内野手が育ちレギュラーとなる土壌はしっかりとある。
長岡がこのまま活躍を続け正遊撃手の座をつかみ取り、さらにその先も守り続けることができるだろうか。その第1歩を踏み出した。
(文=勝田 聡)