目次
・剛・技を兼ね備えた星稜の大型右腕・マーガード。さらに凄みが増す投球で6回1失点の快投
・まさか自分がホームランとは…星稜の4番が驚きの本塁打を打てた要因
・2回戦敗退の大垣日大。2年生右腕・山田渓太は間違いなく23年ドラフト候補有望な逸材!
<第94回選抜高校野球大会:星稜6-2大垣日大>◇27日◇2回戦◇甲子園
この試合は星稜(石川)の投打が上手く絡んだ試合だったが、マーガード 真偉輝 キアン投手(3年)の今大会に入っての成長が著しい。
1回戦の天理(奈良)戦では、140キロ前後の速球と、鋭く曲がるカットボール、カーブ系の変化球で、8回途中まで2失点の好投を演じた。センターカメラから見ると球速表示的に物足りなさを感じてしまうのだが、ネット裏からみるとこの投手の非凡さが分かる。
直球は135キロ〜141キロだが、他の投手と比べても重量感がある。佐々木 優太捕手(3年)のミットを突き刺すような迫力があり、木製バットならばバットを折りそうだ。
1回表、1番・山田 渓太外野手(3年)相手に、右打者の内角ボールゾーンからストライクゾーンに入るスライダーで三振に取るだけではなく、左打者には130キロを超えるツーシームで三振を奪う。技巧派に見えるが、力押しができて、打者の手元でグイグイ曲げてねじ伏せる投球ができる。
高校生としては申し分ない投球内容である。走者を出しながらも、相手の間合いにさせず、自分の間合いで投げることができる。じっくりとサインを見ながら、ベストボールを投げ込む。こうした粘り強さが天理戦の快投も生んだといえる。
マーガードは爪が半分くらい割れているという。それでも、「特に痛みはありませんし違和感はなかったので、全然行けました。大垣日大さんはボール球に手を出してこなかったので、そこが難しかったのですが、それでも低め低めに投げました」。
非常に丁寧な投球を演じ、6回を投げ、87球、1失点、5奪三振の好投。点差が離れたこともあり、次の登板に備えて降板できたことも大きい。
[page_break:まさか自分がホームランとは…星稜の4番が驚きの本塁打を打てた要因]目次
・剛・技を兼ね備えた星稜の大型右腕・マーガード。さらに凄みが増す投球で6回1失点の快投
・まさか自分がホームランとは…星稜の4番が驚きの本塁打を打てた要因
・2回戦敗退の大垣日大。2年生右腕・山田渓太は間違いなく23年ドラフト候補有望な逸材!
大垣日大(岐阜)戦についてはマーガードの成長はもちろんだが、野手陣の成長が素晴らしい。天理(奈良)との激闘を乗り越え、一皮むけた感じがある。
1回裏、1点を先制し、3回裏、4番・若狭 遼之助外野手(3年)が2ランを放つ。大垣日大の左腕・五島 幹士投手(3年)が投じた高めのスライダーを振り抜き、レフトスタンドへ運んだ打撃は見事だった。うまく風に乗った感じだが、小さなステップからレベルスイングで豪快に振り抜いた打撃は非凡なものを感じた。
若狭は「早いカウントから甘い球をしっかり狙って行こうと思っていました。芯に当たった感触と打球の角度で入るかなという感じはありました。天理戦を振り返ると、少し引っ張りが強くなっていたので、調整日の練習では、遅い球を投げてもらって右中間にというイメージでこの4日間練習してきました」。
確かにこの打席は思い切り引っ張るというより、体の開きを抑えて、うまく合わせて振り抜いたというイメージが強い。この本塁打は公式戦通算3本目、高校通算8本目と大きな一打となった。チームでもトップクラスの長打力を持つ若狭だが、この本塁打を大きく喜んだ。
「直球も変化球もタイミングが合っていなかったので下半身で間を作って、上半身を開かずに振っていこうかなと思っていました。この憧れの舞台でまさか自分がホームランを打てるとは思わなかったので、すごく嬉しいです」。この本塁打で大きく評価が上がっただろう。準々決勝以降の若狭の活躍にも期待がかかる。
他では5打数4安打を記録した1番・永井 士航外野手(3年)もミート力は非常に高く、7番・津沢 泰成外野手(3年)も広角に打ち分けるバットコントロールが光り、レフトからのバックホームも素晴らしく、強肩外野手として印象付けるものがあった。
勝ち進みながら実力をつける星稜野手陣。準々決勝以降の戦いも非常に楽しみだ。
目次
・剛・技を兼ね備えた星稜の大型右腕・マーガード。さらに凄みが増す投球で6回1失点の快投
・まさか自分がホームランとは…星稜の4番が驚きの本塁打を打てた要因
・2回戦敗退の大垣日大。2年生右腕・山田渓太は間違いなく23年ドラフト候補有望な逸材!
試合に敗れた大垣日大(岐阜)。悔しい試合内容ではあったが、選手たちの基礎能力の高さを感じた場面が多かった。
シートノックに入った時にボール回しを見ても選手1人1人の力強い送球をしていた。シートノックの動きにもキレがあり、中継プレーも素早い。さすが強豪校と実感させられた。この試合、3失策があったことは反省点ではあるが、それでも大垣日大の選手たちの基礎能力の高さをこの試合を通して随所に感じた。
3回3失点で降板したものの、エースの五島 幹士投手(3年)は野球選手として能力の高さを感じさせた。コンパクトなテークバックから振り下ろす130キロ前半の速球と、切れのあるスライダーを両サイドに散らせる。この試合に限っては真ん中に浮く球が多かったのは残念だった。投球以外の技術が高く、特にフィールディングは秀逸だった。打球処理が非常に速く、まさに守れる「投手」。センターの守備もそつなくこなし、野球センスも抜群だ。強豪大学でも十分続けていけるプレー内容をしっかりと示してくれた。
来年のドラフト候補として期待をもたせる投球を見せてくれたのがセンターの山田 渓太投手(2年)だ。173センチ、70キロと均整が取れた体格。山田も野球センスの高さを感じさせるが、投げ込む直球は素晴らしいものがあった。
コンスタントに140キロ台を計測。何より良いのは投球フォームだ。左足をしっかりと上げて、右足の膝を適度に伸ばしてバランスよく立つ姿が良い。その後、体を沈み込ませて、体重移動に入るのだが、軸足にしっかりと体重を乗せ、左腕のグラブを伸ばして、トップを作った時の胸の張り、安定したリリースポイント、滑らかな体重移動と、投球フォームのメカニクスでは申し分ない。
このフォームだからこそ、140キロ前後でも回転数の高い直球をしっかりと投げることができる。さらに100キロ台のカーブも良い。110キロ前半のスライダーの精度についてはこれから磨く必要はあるが、あとは体を大きくさせて、どれだけ球速アップできるか。そして変化球をどう磨くのか。山田も変化球の精度の高さが課題と振り返っている。
「最初から飛ばしていきました。直球は悪くなかったのですが、カーブ、スライダーで有利なカウントに持って行くことができなかった」
「センターから五島さんを見ていて自分もあそこで投げたいという気持ちが強かった。自慢の直球は空振りも何個か奪えたので自信になりました。直球で押して三振が取れたことがよかった」
東海地区の2枠目として出場した大垣日大。甲子園出場を機に大きく伸びていきそうな逸材が多く、選手1人1人の完成形はかなり楽しみな選手が多い。夏には全国トップクラスのチームへ成長できる土台を持ったチーム。進化が非常に楽しみだ。
(記事:河嶋 宗一)
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