現在、聖地・甲子園で熱戦が続く第94回センバツにも劣らない「全国級投手戦」が高知市営球場での春季高知県大会2回戦・明徳義塾vs岡豊戦において展開された。その主役となったのが岡豊のエース・浜口颯一朗投手(3年)である。
昨秋は県大会準々決勝で明徳義塾の粘りに6回123球10安打8失点と屈した浜口であったが、この日は練習試合も含めた2022年対外試合初戦にもかかわらず直球は明徳義塾のスピードガンで自己最速を3キロ更新する「145キロ」を計測。加えて「冬に回転数を出すために取り組んだ」腕を縦回転に使うフォーム改造や「秋の時点ではまだ完成していなかった」スプリット、縦スライダーの変化球も功を奏し、8回までは昨夏甲子園8強の明徳義塾打線に対し102球を投げ散発3安打6奪三振2四球無失点の見事な内容だった。
最後は9回裏、先頭の4番・寺地隆成内野手(2年)に四球を許し、2死二塁から主将で7番・池邊 由伸内野手(3年)にスプリットを拾われ、中前サヨナラ安打を許してしまった浜口だが、侍ジャパンU―18代表監督も兼務する敵将・馬淵 史郎監督をして「練習試合も含めて今年一番いい投手と対戦した」と言わしめた自信と糧に、夏はさらに精度を高めた上で150キロの頂を目指してほしい。
一方、昨夏からの主力である左腕・吉村 優聖歩投手(3年)にとって、この日は課題が数多く残るマウンドに。自己最速タイとなる135キロを出し、結果的に9回完封とはいえ、「内角は捨てて臨んだが内角も粘ってファウルが打てていた」(中川明彦監督)岡豊打線との再戦145球8安打を許し、奪三振も4に留まった内容は見逃せるものではない。
昨夏聖地で巨人入りした先輩・代木大和投手から託されたエースのバトンを再び甲子園に運ぶためにも、明徳義塾の背番号「1」には打線と共にいっそうの奮起を促したい。
(文=寺下 友徳)
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