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阪神・梅野を育てた福岡の名伯楽が昨秋限りで勇退。指導の礎を作った「柳川と西短の壁」

2022.01.10
阪神・梅野を育てた福岡の名伯楽が昨秋限りで勇退。指導の礎を作った「柳川と西短の壁」 | 高校野球ドットコム
東海大福岡・杉山繁俊監督

 長年にわたり福岡県の高校野球を牽引した名伯楽が、秋季大会限りで指導者生活にピリオドを打った。福岡工大城東で春夏合わせて5度、東海大福岡では1度の甲子園出場を果たした杉山繁俊氏だ。

 1991年に福岡工大附(現福岡工大城東)の監督に就任し、阪神・梅野隆太郎捕手や広島・安部友裕内野手など、10名のプロ野球選手を輩出。2013年に就任した東海大五(現東海大福岡)でも2017年に選抜甲子園出場に導き、2回戦では清宮幸太郎内野手(現日本ハム)を擁する早稲田実業を撃破した。「高校球界のスター」を下してベスト8に進出したことは、まだ記憶に新しい高校野球ファンも多いのではないだろうか。

 32年間の指導者生活の中で、多くの選手を送り出してきたが、現在は年末年始にグラウンドを訪れる教え子の顔を見ることが、何よりも嬉しいことだと感慨深く振り返る。

「最初は原のお父さん(巨人・原辰徳監督の父である故・原貢氏)に福岡で指導者をやれと言われて、もう32年になります。勝てない時代も多かったですが、毎年毎年お正月を迎えるにあたって挨拶に来る教え子と『(最近)どうしてる』と話をしたときに、やっててよかったなと思いますね」

 就任してまだ間もない1992年に、福岡工大城東は第64回選抜高等学校野球大会への初出場を果たしたが、以降は勝てない時期が続いた。当時の福岡県は、柳川西日本短大附の2校が強力な力を持っており、その壁に幾度となくはね返されてきたが、当時の苦心が杉山の指導者としての礎を作り上げた。

「決勝まで進んでも、いつも柳川か西短に負けて甲子園に出場できませんでしたね。小椋真介(元ダイエー)のいた1997年にようやく柳川に勝って夏の甲子園に出場できましたが、その後も何度もはね返されました。定岡卓摩(元ソフトバンクなど)や日高一晃(現ENEOSコーチ)がいて選抜ベスト8に進出した2004年も、夏は結局柳川に負けました。決してその2校だけを見ていた訳ではありませんでしたが、何とかしないとな、といつも考えていましたね」

「指揮を執るのは今大会限り」と臨んだ昨年の秋季福岡県大会では、4回戦で自由ケ丘に惜しくも4対5で敗れた。後任には中村謙三部長(東海大五ー東海大)が監督に就任し、新体制の下で東海大福岡は夏の甲子園を目指していく。

 名伯楽の意思を受け継ぎ、新たなスタートを切る東海大福岡。そして杉山氏の新たな野球人生にも注目したい。

(文=栗崎 祐太朗

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