大野稼頭央(大島)、明瀬諒介(鹿児島城西)
2022年、まず注目されるのは九州大会準優勝の鹿児島大島のセンバツだ。21世紀枠で初出場だった14年以来、8年ぶり2度目となるセンバツを今回は自力で勝ちとるのはほぼ間違いないだろう。中止となった20年春の鹿児島城西を除くと、16年以来6年ぶりに鹿児島勢のセンバツ出場となる。神村学園、鹿児島実、樟南など強豪私学の寡占状態が長く続く鹿児島の中で、県立、普通科進学校の鹿児島大島が全国の強豪相手にどのような戦いをみせるか。
14年のセンバツでは優勝した龍谷大平安(京都)に大敗だった。今回は注目の好投手・大野稼頭央(2年)を擁し、鹿児島大会から接戦を勝ち抜き九州大会でも発揮した驚異的な粘り強さ、勝負強さがどこまで通用するか、注目したい。
鹿児島大島がセンバツに出た場合、春の鹿児島大会は第1シードが準優勝の鹿児島城西となり、以下、樟南、国分中央、川内、鹿児島玉龍、鹿児島、鹿児島南の7校がシードとなる。優勝争いは鹿児島城西を軸に繰り広げられるものと思われる。
鹿児島城西は九州大会初戦で敗れたものの、優勝した九州国際大付(福岡)と接戦を演じた唯一のチームであり、潜在力は全国クラスのものを秘めている。何といっても打線の強力さは他の追随を許さない。3番・池野航太(1年)、4番・藤田剛(2年)、5番・明瀬諒介(1年)の中軸トリオを中心に、鹿児島大会ではスイングスピードが速く、大きな放物線を描いた本塁打を量産した。九州大会でも明瀬、藤田がホームランを放っており、全国でも通用する強打が光る。明瀬、池野をはじめベンチ入り20人のうち5人が180センチを超えており、うち4人が1年生という「見た目」のスケールも大きい大型チームである。エース津波辰弥(2年)は左のサイドスローという独特のフォームで、ストライク先行の投球で試合を作る力に長ける。
夏の甲子園に出場した樟南はコロナの影響もあり、新チームの始動は最も遅かったが、秋の県大会ではれいめい、鹿屋中央といった強豪に序盤で競り勝ち、準決勝では鹿児島大島とも延長13回の接戦を演じた。町北周真主将(2年)、西窪大翔(2年)、畝地竣己(1年)ら甲子園を経験したメンバーを中心に打力、勝負強さのある選手がそろう。投手力の整備が春以降の課題になりそうだ。
秋は鹿児島大島をはじめ国分中央、川内、鹿児島玉龍、鹿児島南の5校の公立校が8強に勝ち残った。ただこの秋は8月の地区大会がコロナ禍で中止となり、シード校なしのフリー抽選だった。鹿屋中央と鹿児島実、樟南とれいめいが2回戦で対戦し、勝った鹿屋中央と樟南が3回戦で対戦し、強豪校同士が序盤でつぶし合った。神村学園は2回戦で鹿児島商に敗れ、その鹿児島商も3回戦で川内に敗れた。ノーシードになる鹿屋中央、鹿児島実、れいめい、鹿児島商、神村学園だが、一冬越えてじっくり鍛え上げれば、選手個々の力は高いものがあり、上位に勝ち上がっていく候補になるだろう。
また鹿児島工、尚志館、鹿屋農は大会序盤で鹿児島大島と接戦を演じており、こちらも春以降の成長が楽しみなチームである。
(記事:政 純一郎)