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主砲・田代旭 復活を予感させる高校通算40号 ベスト4は広陵と対戦
本塁打を放った4番・田代旭(花巻東)
東北大会王者の花巻東(岩手)は、開幕戦の國學院久我山(投手)戦で逆転勝利したが、高知戦(四国・高知)を見ると、完全に勢いに乗った感がある。
1回表、佐々木麟太郎内野手(1年)の中前適時打で幸先よく1点を先制した。佐々木は「神宮から調子を戻して2試合目ですが、初戦の結果を忘れて切り替えて1打席目入って、先取点が欲しかったので、チームに貢献出来たのが一番よかったです。変化球中心の配球だろうとデータや監督の話で感じていたので、カーブに対応してセンターへ打ててよかった」
思考がしっかりしていて、シンプルにボールを待つことができている。それが結果に表れているのだろう。1回裏に同点に追いつかれるが、3回表には3安打を集中し、田代旭捕手(2年)の中犠飛などで一気に3点を追加した。
5回表にはボークから1点。6回表には田代旭の高校通算40本塁打で貴重な追加点を挙げた。ヘッドスピードが速い中距離打者という印象が強かったが、この打席ではスラッガーらしいスイングだった。トップを深く取って、腰を鋭く回転させた100点満点のベストスイング。東北大会から見続けているが、スラッガーの片鱗を見せてくれた。
田代は打撃好調な佐々木に刺激を受けている様子だった。
「1年生に負けていられないと思っていて、佐々木に追いつけるようにと思って打席に立っています」
打者としての素質は素晴らしいものがあり、捕手としても2.00秒前後のスローイングがセカンドベース上にビシッと到達する。リードが大きい走者を刺す意識も見られる。
花巻東萬谷大輝
エース・萬谷大輝投手(2年)は120キロ中盤の速球に、スライダー、チェンジアップを低めに集める投球で、5回から5イニングを投げて、7奪三振、無失点の快投だった。それほど球威があるわけではないが、打者の手元で大きく落ちるチェンジアップはかなりミートがしづらい。田代との呼吸もピッタリで、技巧派左腕というカテゴリーで見れば全国レベルの投手だ。
準決勝の相手は広島広陵に決まった。佐々木は「相手は非常に強いので、自分たちらしい野球で勝てればと思いますので、勝ちに対する思いを持ってやりたいです」と意気込んだ。
敗れた高知 野手がタレント揃い
高知3番・高橋友
高知は敗れたものの、選手のポテンシャルが非常に高い。同点適時打を放った高橋友内野手(2年)は四国大会から活躍を見せている左の強打者だが、高知らしい始動→トップ→インパクトに入るまでの打撃動作に無駄がなく、スイングも強い。三塁守備でも強肩が光り、全国レベルの打者であることを印象づけた。
小西拓斗遊撃手(2年)もバウンドの合わせ方に苦労している様子こそあったが、俊敏な動きが持ち味で、守備範囲が広く、スピード、動きの切れの良さには全国レベル。捕球の確実性、バウンドの合わせ方、判断力などに磨きがかかれば、もっと評価が上がる。
外野手は全体的に肩が強い選手が多いが、その中でもライトの川竹巧真(2年)の強肩ぶりには目を惹いた。ライトからの返球は、ほぼダイレクト。いざマウンドに立つと、常時135キロ〜138キロの速球を投げ込む。スライダーの切れもまずまずで、投手としても能力が高い。打者としてもクリーンアップを打ち、歩幅が狭い打撃フォームから力強い打球を飛ばす。打撃技術をもっと高めれば、さらに注目を浴びる存在になるのではないだろうか。
(記事=河嶋 宗一)
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笑顔でベンチに引き返す花巻東・佐々木麟太郎
試合後の取材を受ける花巻東・田代旭
好守を見せた高知のショート・小西拓斗