2年後のドラフト候補の大型捕手・有馬諒が近江3年間で培った野球観とは【前編】
近江の正捕手として甲子園に3度出場した有馬 諒。関大では今秋から正捕手に定着し、打率.370の活躍で自身初のベストナインに輝いた。2年後のドラフト候補として注目を集めている有馬の近江高校時代を振り返ってもらった。
捕手として視野が広がった

有馬 諒(関西大)
幼少期から体を動かすことが好きだった有馬は小学1年生の時に西大寺ドリームズで野球を始めた。当時から他のグラブと形が違うキャッチャーミットに興味を示しており、3年生から本格的に捕手を始めた。
捕手として野球脳の高さが光る有馬だが、「塾にも通ってましたし、勉強もある程度できないとダメだと思っていたので、ちゃんとやるようにはしていました」と学力も標準以上のレベルにあり、近江でも準特進クラスに所属していた。
中学ではヤングリーグの奈良ウイングでプレー。バッテリー中心の野球を展開する近江に憧れて、「挑戦したいという気持ちから入らせてもらった」と縁があり、近江に入学することができた。
「中学の時はあまり結果も残せていない」という有馬だったが、1年春にベンチ入りを果たす。夏こそベンチ外になったが、秋からは正捕手として、センバツ出場確実となる近畿大会4強に導いた。早くから試合に出るようになったことで、視野が広くなったと話す。
「周りは見られるようになりましたね。中学校の時とか色んなポジションやってましたけど、自分、自分ということが多かったんですけど、高校になってチームの勝利にどれだけ貢献できるかということは試合に出てから気づきましたし、そこで何ができるかというのを深く考えるようにはなりました」
初めての甲子園となった2018年のセンバツでは3回戦で敗れたが、6打数4安打2打点と活躍。「大きい舞台でも自分の能力を発揮できるんだなと思いました」と自信を深める結果となった。その一方、3回戦では星稜にサヨナラ負けを喫し、「詰めの甘さが出た」と課題も明らかになった。
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大きな教訓となった2ランスクイズ

高校時代の有馬 諒(近江)
夏の甲子園では金城 登耶と林 優樹(西濃運輸)の左投手2人に加えて、右投手の佐合 大輔、松岡 裕樹(大商大)が台頭。「的が絞られず、それぞれの特徴を活かした試合運びができていたので、チームとして大きかったです」と投手陣の充実が8強入りに繋がった。
投手4人とは宿舎の部屋が同じで、「コミュニケーションをとるようにして、小さい変化も逃さないようにと考えてやっていました」と日頃から投手陣の様子を観察するようにしていたという。
投手陣の中でも同学年の林とのコンビは高校野球ファンの間で強い人気を誇った。林については、「ザ・ピッチャーという感じの子で、私生活とかでもそうですけど、自分を持っているというかピッチャーに向いている性格をしている子でした」と語ってくれた。彼の持ち味を引き出すためにも様々な工夫をしていたそうだ。
「緩急とテンポが持ち味のピッチャーだったので、ストレートを速く見せたり、チェンジアップを遅く見せたりとか、色んな考え方は多くの試合を見るでもそうですし、プレーするのもそうですけど、勉強してやってきました」
二人の名前を一躍有名にしたのが、準々決勝の金足農戦だ。1点リードの9回裏、無死満塁から2ランスクイズを決められて、逆転サヨナラ負け。あの場面について、「全ては準備不足だった」と振り返る。
「そこ(2ランスクイズ)から考えていなかったのもそうですし、セカンドランナーが還ってくるというのも考えてたら防げたシーンではあったので、絶対に防げないシーンではなかったので、そこは準備の不足があったんじゃないかと今でも思います」
有馬にとっては痛恨のプレーとなったが、「色んな状況を想定するようになりましたし、あまり想定外のことが起きることがなくなりました」とこの教訓は今にも活かされているようだ。
最後の夏への挑戦も、いばらの道だったが、詳しくは後編でお届けする。
(記事:馬場 遼)