九州国際大付vs福岡第一
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主将の野田捕手が、公式戦初完投&1発含む4安打4打点、九州国際大附が6度目V

九州国際大附・野田海人が1回に2ランを放つ
圧倒的な打力を誇って勝ち上がった九州国際大附と、左腕のリレーを中心に勝負強さで勝ち上がった福岡第一の決勝戦。福岡第一の投手陣が、どこまで九州国際大附打線を封じることができるかがカギだったが、予想外の一方的な展開となってしまった。
福岡第一の先発は準決勝と同じく左腕の杉本響投手(2年)。緩急を活かした投球と制球力が武器だが、九州国際大附の主将の1発に沈んだ。先頭の黒田義信が右前打で出塁すると、体重106キロ、チームメートから「ジャンボ」と呼ばれている4番の佐倉侠史朗内野手(1年)が、一塁線を破るタイムリーで先制すると、5番野田海人主将(2年)が、九州国際大附打線に火をつける1発を放った。スライダーを振り抜くと打球は北九州市民球場の左翼席上段で弾んだ。高校通算3本目は、優勝を狙うチームに大きく勢いをつけた。福岡第一先発の杉本は2回で降板。2番手の1年生・川波櫂人(かいと)にも容赦なく自慢の打撃を浴びせた。
5回に3番大島諄士(あつし)外野手(2年)がソロを放つと、7回には7番毛利和暖(かずはる)捕手(2年)と、1番黒田義信外野手(2年)がそれぞれ2ラン。この回6得点の猛攻だった。結局、野田主将が火をつけた打線は、4発15安打13得点を呼んで、13対1の圧勝。春に続いて2季連続6回目の優勝をチームにもたらした。
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九州国際大附・先発完投した捕手の野田海人
野田の活躍はそれだけで収まらなかった。今秋2度目の先発マウンドに立つと、公式戦初となる完投勝利を挙げて見せた。自己最速を更新する145キロの直球と変化球を武器に10三振を奪い、4安打1失点の快投だった。背番号2の野田がまさに「二刀流」の活躍で優勝に導いた。決勝前のアップ時に先発を言われたという野田だが「ひょっとしたらあると思って、心の準備はしていた」という。入学時から投手か捕手かで迷い、レギュラー捕手がケガしていたこともあり捕手でスタート。ここまで週1回、100球を投げ込んで投手の練習もしてきたという。「思ったより直球が走っていた」。スイスイと最後まで投げ切った。
楠城徹監督も「九州大会を勝ち上がるためには投手1人では不安だった。決勝までいけば野田を先発させるつもりだったが、ここまで投げてくれるとは思わなかった。これで十分使える目処がついた」と目じりを下げた。打撃陣については心配していなかったが、左腕エース香西一希(こうざい・かずき)投手(2年)1人に頼る投手陣に不安を感じていた指揮官に、野田は期待以上の結果で応えて見せた。
福岡第一の山下裕(ゆたか)監督は脱帽だった。「今大会は可能性と現状がよく分かった大会だった。強い相手に勝って上にいける可能性は感じる一方で、今日みたいにちょっと流れが悪くなると、止まらなくなる現状が見えた」と大敗を分析した。九州大会に向けて「九州大会まであと2週間調整できるので、この期間が勝負になる。この負けで原点に戻れるという意味ではプラスに考えている」と巻き返しを誓っていた。
(記事=浦田 由紀夫)

九州国際大附・佐倉侠史朗が先制打でガッツポーズ

九州国際大附・黒田義信が7回に2ランを放つ

九州国際大附・大島諄士が5回にソロを放つ