春から急浮上してきた選手が多いチームほど推進力が強い。そんなチームが山梨の日本航空である。今年の春は東海大相模相手に5対3で勝利した。そんな日本航空の投打を担うキーマンを紹介。続いてはエドポロ・ケインだ。189センチの長身からバネの強さを生かしたプレースタイルで本塁打を量産。東海大相模戦で3安打3打点の活躍を見せ、勝利に貢献した。夏の山梨大会でも活躍を見せている。
そんなエドポロの歩みについて迫っていきたい。
関西弁のハーフ、LINEの長文で監督を驚かせた
エドポロ・ケイン(日本航空)
同僚のエース格であるヴァルデナ・フェルガスが冷静沈着な性格をした選手ならば、エドポロは陽気なキャラクターをした選手といえるだろう。ナイジェリア人の父と韓国人の母のハーフで、喋りはバリバリの関西弁。誰に対してもフレンドリーに接する姿に触れると親近感を感じてしまう。
そんなエドポロは、大阪府大阪市出身。幼稚園の時から野球を始め、長男はジェイプロジェクトでプレーするエドポロ・ジョセフ選手、そして次男は日体大柏までプレーしたエドポロ・キングさんがいた。体も大きく、長打力にも自信があったエドポロは中学時代、南大阪ベースボールクラブでプレー。関東一・楠原 悠太など有力選手とともにプレーし、実力をつけたエドポロは一番最初に声をかけてもらった日本航空に進学することを決意する。
また、尊敬する兄とは違う高校で勝負したい思いは常に持っていたという。自慢の長打力を1年から勝負し、ベンチ入りしたいと考えていたが、その構想はもろくも崩さってしまう。
「中学校のときと全然違くて、こんな中で最初やっていけるかなと思いました。自信あったのは長打力なんですけど、先輩たちは自分より全然飛ばすので、自信はなくなりました」
それでも長打力アップの追求を怠らなかった。普段は陽気なキャラクターのエドポロだが、豊泉監督を驚かせたのがチームLINEのある一文だ。
「昨年の自粛期間は選手とはLINEでやり取りをさせていただいたのですが、エドポロが打撃について課題、こうしたいという内容がかなりの長文で送られてきたんですよね。見所があるなと実感しました」
普段のエドポロのキャラクターを知っているだけに、その話を聞いて、驚いた。
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詰まってもOKで打撃開眼、プロ入り目指しバットで甲子園導く
エドポロ・ケイン(日本航空)
そうした探究心の高さもあり、エドポロの素質が開花するのは2年秋である。ある練習試合で詰まりながらホームランを打った。
「詰まることを恐れなくていいんだと思って、思い切り振ることを意識したら、一気にホームランが増えました」
それまでは6本塁打だったが、関東大会まで17本塁打まで伸びた。そして臨んだ東海大相模戦では3安打3打点の活躍。凄まじい打球を次々と外野へ飛ばした。
「東海大相模の投手は速い投手ばかりでしたが、普段の練習から速いボールに対しての練習はできていたので、それができてよかったです」
関東大会終了技、エドポロはなぜ打てないのかを考えて打席に臨むようになった。さらに本塁打のペースを積み重ね、半月で7本塁打増えて、24本塁打に到達。順調にステップアップしているかに見えたが、学校内にクラスターが起こり、活動自粛。24本塁打で大会に臨んだ。
目標はプロ入り。実戦練習以外は木製バットを使って技術を磨く日々だ。
甲子園まであと1勝。チームにとっては新たな歴史を創る、エドポロにとっては野球人生がかかった決勝戦である。果たしてエドポロは甲子園に導く一打を打てるか。
(記事=河嶋 宗一)