県立商工が粘り勝ちで2回戦へ。横浜立野は大学生監督の最後の夏飾れず
勝利した県立商工の選手たち
7月10日、いよいよ第103回全国高等学校野球選手権神奈川大会が開幕した。
サーティーフォー保土ケ谷球場の第1試合は、県立商工と横浜立野が対戦。試合は終盤までもつれる点の取り合いとなった。
初回に、5番・臼井楽結の適時三塁打などで3点を先取した県立商工。
直後の1回裏に1点を返されるが、4回に9番・篠田蓮青の適時打、5回にも4番・浜望輝南の適時二塁打などで3点を追加し、これで得点は7対1。県立商工が試合の主導権を握ったかに見えた。
しかし5回裏、横浜立野も粘り強く追い上げを見せる。
4番・大矢賢人の適時二塁打で1点を返すと、その後一死満塁から6番・三浦拓也が押し出し四球を選び追加点。その後も、さらに押し出し四球で1点を追加すると、満塁のチャンスが続き9番・山下颯太が三安を放ち、この回4点目。
7対5と2点差まで追い上げ、これで勝負は一気に分からなくなった。
「こういった展開も想定していました。自分たちのミスから連鎖して、ビックイニングを作ってしまうことが課題で、実は春もそれで負けているんです。
なので、最初から継投も考えていて、出し惜しみ無くいきました」(県立商工・畠陽一郎監督)
ビックイニングを作られ、僅差に迫られた県立商工だったが、畠監督が試合後に語ったように、焦ること無く継投策で逃げ切りを図る。
7回表に追加点を挙げると、その裏からは背番号11の田中大地をマウンドに送り、さらに8回途中からは背番号1の臼井楽結を投入。1点差まで詰め寄られたが、最後は何とか振り切り県立商工が2回戦進出を決めた。
試合後、畠監督は「大差になるとは思ってなかったので、競ってでも勝てて良かったです」と安堵の表情を浮かべた。
また投打で活躍を見せた主将の臼井は「春もあのような形で負けて、練習では雨が降っている中でも練習して、必ず初戦勝つつもりで臨みました。今日は先発全員安打でしたが、自分の野球人生で初めてだったので、2回戦もも集中して全員安打できるように頑張ります」と語り、次戦に向けて気持ちを引き締めた。
一方、敗れた横浜立野。
チームを指揮した西村捷監督は現役の大学生で、実は大学の卒業に伴い夏の公式戦はこれが最後だった。
主将の大矢は「最後に勝利をプレゼントしたい気持ちはありましたが、申し訳ないなと感じています」と悔しさを滲ませたが、それでも西村監督は「(戦いぶりは)想像以上で、緊張感の中でも実力以上のことを発揮できました。普段から取り組んできたこと、意識してきたことが実ったかなと思います」と選手たちを労った。
(文=栗崎 祐太朗 )