まもなく創立60年に到達する歴史があり、剛毅・敬愛・創造の3つを校訓に掲げている生駒高校。現在は奈良県生駒市に校舎があり、野球部には1年生14人、2年生21人の合計35名で活動をしている。
「私立高校を倒すことが目標です」と主将の黒田洋平。目標達成のために冬場も練習を重ねてきたが、生駒のオフシーズンには大事な行事がある。それが知的障害者ソフトボールチームのぐれいとぶっだとの交流会である。
「僕も生駒OBですが、向こうの監督さんもOBで、OB会の時に話をしたことがきっかけで、今年で10年目になります」
現在、指揮官の北野監督が母校に戻ってきてから始まった交流会。ぐれいとぶっだには選手たちよりも年上もいれば、年下もいるとのことで、「1年生はどうやって接すればいいのか。変な気も使っているところもあります」と北野監督は見ている。
ただ「2年生は経験している分、上手く接しているので、そこを1年生は見て学んでいる感じです」と、時間が経つに連れて距離感は縮まっているそうだ。
当日はぐれいとぶっだの選手たちと同じチームになって、リーグ戦を行う。この日はマネージャーも一緒になってソフトボールをやるとのことだが、「ぐれいとぶっだは日本一を目指すチームなので、レギュラーくらいだと上手いです」とのことで、選手たちも必死になってプレーするという。
わずか1日だが、北野監督は交流会での経験は大きいと語る。
「普段の練習ではなかなか教えられない、経験が出来ないことを知ることが出来るので、違った刺激を受けて感性が良くなります。また感謝の気持ちも育まれるので、本当に大きいです」
ちょうど実施する日も冬場の練習の中間くらいとのことで、「冬場の練習に疲れと慣れが出てきているところで、交流会をすることを通じて、心新たに練習できています」と北野監督は加えて説明をする。
■打倒私学に燃える生駒のキーマンたち
こうした経験をしながら一冬超えて春季大会へ追い込みをする生駒。今年のチームをまとめる黒田主将は、「チームにとっての精神的柱です」と北野監督は評価。選手としては6番・サードとして、状況に応じた器用さと広角に打ち分ける繋ぎのバッティングを持ち味としている。
さらに抑え投手としての登板もあり、相手打者の間合いを外すように投げるテンポを変えるなどの工夫に加えて、四隅を狙う制球力を武器とする技巧派投手としてもチームに貢献する。
そんな黒田とともにチームを支えてくれたのが熊田颯馬だ。1番・センターとして打線の火付け役を担う熊田は「どんどん振っていく超積極性が持ち味です」と北野監督は分析。小さい体でも長打を飛ばすパンチ力や選球眼も優れたものがあり、高い打率と出塁率でチームに勢いを与えてくれる。
この2人の活躍に加えて春先の飛躍に期待がかかるのが吉村有生、福鹿真人、丹羽朝飛の3人である。2年生の吉村は1年生の夏から試合に使っている実力者で、現在のチームでは4番・セカンドを務める。ハンドリングやグラブさばきは「天性で上手くできている」と北野監督は見ており、バッティングでは野手の間を抜いていく打球を広角に打ち分ける。
福鹿は昨秋は3番・ライトでスタメン出場していたが、一冬超えて長打力が身についてきた成長株。北野監督は「これまでは力任せでしたが、しなりや腰の回転を上手く使えるようになってきた」と成長を感じ取っている。
そして1年生・丹羽は昨秋エースとしてチームを引っ張った右腕。キレとコントロールが光る投手だが、中学時代は外野手がメイン。ただ北野監督は丹羽に投手を任せた。
「入学してすぐに全員にピッチングをしてもらったら一番良かったので、そのまま続けたら成長してくれました」
冬場でボールの回転数を伸ばすべく練習に重ねてきた丹羽。春以降も中心投手としての活躍に期待が寄せられる。
春は奈良大附との対戦する可能性がある。「春は私学と対戦をして夏に繋げていこうと思うので、望み通りの対戦です」とコメント。これまで天理や智辯学園などの強豪私学の壁にぶつかってきた。「この壁を超えれば甲子園も見えてくる」と北野監督は感じている。
春の戦いを通じて何が足りないのか。それを自覚して夏に挑むために、一戦一戦を無駄にせずに戦い抜く。
(文=田中 裕毅)

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