必由館のベンチ入り一覧
学校が創立して100年以上という長い歴史がある必由館。野球部は過去に甲子園出場の実績を持ち、これまでに球界を代表するクローザー・馬原孝浩や、現役では阪神タイガース・岩貞祐太らが必由館を卒業している。
旧チームから試合に出ていた選手たちを中心に18年ぶりの甲子園を目指す必由館。片岡 尚哉を中心に現在は打撃強化に力を注いでいるが、この冬をきっかけに復調の期待がされているのがサードを守る都留 祥太朗だ。4番に座っているが、秋の大会は不調でなかなかチームに貢献できなかった。
「彼が上がってくれば得点力が変わるので、期待しています」と今後の活躍ぶりに片岡主将は期待を寄せる。そして守備では成長著しい徳永 暁星に古閑 琢己の2人が春以降の必由館のディフェンスのカギを握っている。
円陣を組む必由館ナイン
■チーム力も試された冬場ランメニュー
過去に甲子園出場した必由館には、冬場になると必ず取り組む練習がある。それは270メートル走だ。中距離の分類に入る距離だが、これを48秒以内で6本走る。これが終われば、今度は丸太を持ったまま同じく270メートルを53秒以内に完走するのを10本行う。
中学時代は中体連の陸上大会に走り高跳びで出場して市内3位の記録を残したという片岡主将は「走るのは苦手ではない」とのことで、とにかく目標設定を切り続けることで、チームメイトを鼓舞し続けた。
トレーニングの様子
だが、なかにはランメニューを苦手としている選手も当然おり、目標時間を達成できない時もある。その場合は本数に数えないのが必由館のルールとのこと。その結果、4時間走り続けても終わらずに、翌日に切れなかった分を走り直すこともあったそうだ。
片岡主将は「全員が切れないと終われないので、チーム内では言い争いになることもありました」と当時の状況を語る。
必由館のミーティングの様子
■ミーティングを経てチームの仲を深めた
選手たちを支えるマネージャーの横手さんも、この時の雰囲気が悪かったと話す。
「なかなかクリアできないので、ピリピリした空気感があって、『このままだとダメだな』と感じていました」
そこで、横手さんたちマネージャーが選手たちとミーティング時間を作り、話し合う場を設けた。ときには、西田監督からの伝言を選手たちへ話すために開いたり、選手たちからミーティングをするなどしてきた。
すると、「雰囲気が変わり始めました」と横手さんは変化を実感。今では目標時間を切れるほど体力がついてきたと同時に、チームメイトをいじれるほど余裕が生まれてきた。厳しい練習を通じて、チームの絆は深まったようだ。
バッティング練習をする必由館ナイン
■1000スイングで鍛えた打線で勝ち上がる
ただ技術練習も忘れてはいない。通常のバットをはじめ、ノックバットや1.2もしくは1.3キロほどのバットを使い分けてバッティング練習を行う。ティーバッティングでも投げてもらう角度を工夫するなどして多い時は1000スイングこなしている。
「守備は基本から見直していますが、打線も打てていなかったので、とにかくスイングをさせています」(西田監督)
結束を固めた必由館。鍛え上げた打撃を武器に熊本で波乱を巻き起こす。
(文=田中 裕毅)

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