日本中、いや世界中が新型コロナウイルスに苦しみ抜いた2020年も間もなく終わろうとしている。野球界も例外なく厳しい一年を過ごした中、四国の高校野球では今年、何が起こったのか?今回は3大ニュースにまとめてお送りしたい。
3位 甲子園交流試合で四国勢、鳥取城北と智辯和歌山に連勝!
香川県大会秋夏連覇も果たした尽誠学園
春のセンバツに続き夏の後援も中止。今年の全国舞台は8月の「甲子園交流試合」のみとなったが、四国勢は見事な戦いぶりを見せた。
まず明徳義塾(高知)は鳥取城北に苦戦を強いられながらも「制球力とクイックに難がある」相手の弱みを奥野 翔琉(3年・中堅手・JR西日本入社予定)の3盗塁などで着実に突き、最後は4番・新澤 颯真(3年・一塁手・拓殖大進学予定)の逆転サヨナラ打につなげた。
さらに圧巻だったのは尽誠学園(香川)。智辯和歌山(和歌山)に対し香川県独自大会から着実に準備を重ね、大舞台で8対1と快勝。スカウティング・個々の実力向上・チームワーク全てが合致した見事な勝利だった。
[page_break:2位 明徳義塾・代木 大和。驚異の秋季公式戦防御率0.58!]
2位 明徳義塾・代木大和。驚異の秋季公式戦防御率0.58!
明徳義塾の大黒柱・代木 大和
最速151キロ右腕・森木 大智(2年)の動向が注目を集めた秋。主役の座を奪ったの明徳義塾の左腕・代木大和だった。甲子園交流試合でリリーフ登板した際の反省を踏まえ、秋はストレートをあえて130キロ中盤に制球。120キロ後半のカットボールも駆使し、公式戦7試合全て完投・4完封で62回を投げ四死球わずか10・防御率0.58という驚異的な数字を残し四国大会連覇に大きく貢献した。
明治神宮大会が中止となったため全国でその妙技を披露する機会がなかったのは残念だったが、「ストレート主体の投球」を誓い筋力強化にも取り組む代木が、2021年にどのような姿を見せるのか。森木投手をはじめとする四国投手たちの奮起も含め大いなる期待を持って見つめていきたい。
1位 四国の高校野球人、世間に「コロナ禍での生き方」を発信する
明徳義塾・馬淵 史郎監督
夏の甲子園が中止になった際に侍ジャパンU-18代表監督も兼ねる明徳義塾・馬淵史郎監督が発したメッセージ(https://www.hb-nippon.com/news/36-hb-bsinfo/41652-bsinfo20200520011)。
「目標は消えても仲間は消えない」とまっすぐに言い切った松山商主将(旧チーム当時)・国澤彪馬(3年・遊撃手)。
全国でそうだったように、この夏には様々な場所で四国の様々な指導者たち、選手たち、高校野球人たちが部員たちに向き合い、悩み苦しんだ末にメッセージを発信。その1つ1つは単に野球界でなく世間に対して強く響くものだった。2021年も全く予断を許さないことになりそうな「コロナ禍の世界」。私たちは様々なことが制限された中で何ができるのか。その言葉たちから今一度考える必要がある。
(記事=寺下 友徳)