試合レポート

鳴門vs徳島商

2020.08.05

最終回に待っていたメイクドラマ!「逆転の鳴門」夏の徳島県大会3連覇!

鳴門vs徳島商 | 高校野球ドットコム
3年連続夏の徳島県大会を制し抱き合う鳴門・藤中壮太(3年・投手)・原田力輝(3年・捕手)バッテリー

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 5回までの主導権を握ったのは完全に鳴門。「ストレスがたまっている。スカッとしてほしい」

 チーム打率試合前の囲み会見で森脇 稔監督が苦笑いしながらチーム打率.259の打線に出した要望に初回二死一塁から4番・岡崎 凛(2年・一塁手・右投右打・173センチ80キロ・小松島市立南中出身)が右中間を深々と破る先制三塁打を放つと、3回表にも二死二塁から5番・原田 力輝(3年・捕手・176センチ79キロ・右投左打・徳島東リトルシニア)の適時打、5回表には2番・岸本 拓也(2年・二塁手・168センチ66キロ・右投右打・上板町立上板中出身)が左翼ポール上部にぶつける大会第8号ソロアーチで3点をリード。

 投げても準々決勝・鳴門渦潮戦と準決勝・生光学園戦で「ボールのキレを増すことを意識して練習してきた」最速143キロのストレートと多彩な変化球を駆使し2試合連続完封を果たした右腕・藤中 壮太(3年・右投右打・169センチ71キロ・三好市立三好中出身)が、5回までわずか54球で3安打無四球無失点とこの日も持ち味を存分に発揮した。

 「鳴門・盤石の3連覇か?」しかし、そんなムードは6回裏から一変する。徳島商は一死から3番・栗林 凌生(2年・中堅手・176センチ68キロ・右投右打・徳島市川内中出身)が死球で出塁すると、4連打を含む怒涛の6単打を集中させ5得点。特に5番の代打・米澤 知希(2年・内野手・左投左打・176センチ77キロ・阿南市立阿南中出身)と6番・楠本 凌生(3年・一塁手・174センチ71キロ・右投右打・板野町立板野中出身)とによる連続適時打は、二死満塁から9番・松原 翔瑛(2年・遊撃手・右投右打・徳島市加茂名中出身)による右前逆転2点打につなげるムードを完全に作った。

 こうして鮮やかな逆転を飾った徳島商は続く7回裏にも三塁コーチャーから代走・左翼手に入っていた6番・宮崎 拓海(3年・右投右打・176センチ73キロ・板野町立板野中出身)の左中間二塁打と楠本の適時打で6対3。「3年間の想いを出してくれた」と主将の髙岡 宏聖(3年・右翼手・右投左打・165センチ64キロ・徳島市立富田中出身)も感動する一打で、今度は徳島商が11年ぶりに夏の徳島県を制したかと思われた。

 しかし、野球の神様は最終回にメイクドラマを用意していた。「最後まであきらめず鳴門の野球をする」を誓い合った彼らは9回表一死一・二塁から1番・主将の田口 史樹(3年・遊撃手・右投左打・徳島東リトルシニア出身)の右前打で1点を返すと、続く岸本が右中間を破る二塁打で同点。さらに敵失で勝ち越すと、最後は再びマウンドに立った藤中が3人締め。終わってみれば伝統の「逆転の鳴門」を発揮した王者が、徳島県夏の大会3連覇を達成した。

 かくして過去10年間を振り返っても3本の指に入る激闘となった決勝戦、高いレベルの攻防戦が展開された準決勝・鳴門vs生光学園戦など、甲子園をかけた闘いにも勝るとも劣らない試合を積み重ねて幕を閉じた「徳島県高等学校優勝野球大会」。最大の目標を失っても、なおも前を向こうとする高校球児たちの姿勢は、新型コロナウイルス感染拡大により「とくしまアラート」が鳴り響く状況にある徳島県民にとっても、闘いに打ち克つ推進力にきっとなるはずだ。

(取材=寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.02

福岡に逸材現る! ケガから復帰後即144キロ! 沖学園2年生エース・川畑秀輔に注目だ!

2024.06.02

【中国】倉敷商が13年ぶり、尾道は12年ぶりの決勝へ<春季地区大会>

2024.06.02

【東京六大学】早稲田大が7季ぶり47回目の優勝!早慶戦2連勝で決め、六大学最多優勝回数単独トップに!

2024.06.02

【鹿児島NHK杯】鹿屋農、鹿児島実に逆転勝ちで初の決勝へ!

2024.06.02

早大・尾瀬雄大がソロHR含む4安打3打点の大暴れ!今春リーグ戦で首位打者のヒットメーカーが優勝を近づける活躍!

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.29

【宮崎】延岡学園と日章学園がともにタイブレークを制して4強入り<県選手権大会>

2024.05.28

【鹿児島】鹿児島玉龍と樟南が8強へ<NHK旗>

2024.05.28

【佐賀】佐賀商と龍谷が、ともにコールド勝ちで決勝へ<NHK杯>

2024.05.28

【鹿児島NHK選抜大会】錦江湾が1点差勝利!出水工の追い上げ、あと1点及ばず

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得