オリックス・山本由伸(都城出身)、西武・今井達也(作新学院出身)など楽しみな投手が揃う1998年世代。その中で独立リーグを経由してプロ入りしたのが9891(横芝敬愛出身)だ。
高校時代は横芝敬愛で3年間プレーするも、最高成績は2年生の夏の千葉大会の4回戦。甲子園に進めぬまま高校野球を終えたが、卒業後に進んだ四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスで才能を開花。
先発ローテーションの一角として1年間活躍し、独立日本一を経験。2017年のドラフトで埼玉西武ライオンズに3位指名を受けて、晴れてプロ入りすると、1年目から1軍デビューを果たし、中継ぎとしてチームの優勝に貢献した。
しかし2年目はプロの壁にぶつかり、勝負の3年目となる。前編ではプロでの2年間を語っていただいたが、後編ではトレーニング、技術的な面に関して迫っていった。
前回の記事はこちらから!
独立からプロへ進んだ期待の星!優勝の歓喜、そして壁を痛感した3年目右腕・伊藤翔(埼玉西武ライオンズ)【前編】
アメリカで学んだトレーニングの重要性
アメリカ合宿を通じてトレーニングへの考え方が大きく変わった伊藤。これまでも、肩回りを中心に上半身のトレーニングはやっていた。しかし、アメリカ合宿をきっかけにトレーニングの回数や強度を高めた。
「変に筋肉を付けてしまって腕が振れなくなってしまうことが嫌でした。しかしアメリカ合宿で重要性に気づくことが出来ましたし、実際にアメリカでは腕が太いから腕が振れない。球速が出ない選手はいませんので、そういったところにも気づけて考え方が変わりました」
さらに、リリースの時にボールに力を伝えられるようになって、いい方向に進んでいることを伊藤は実感している。元々、身体のバネを使って強いボールを投げ込んできた伊藤にとって、身体のパワーがついたことで、よりボールに力がついてきたのだ。
「もっと早くからやっておけばよかった」と伊藤は話すが、リリース時の変化についてこのように語る。
「ボールを離すときにズシっと感じるんです。上手く伝わるときとそうでない時もありますが、上手くできた時は力や体重が乗ったような今までにない感覚で投げられているのを実感しています」
身体が大きくなったが、投球フォームやリリースは変えていない伊藤。ここまでは「むしろ良い」と今のボディがフィットしているとのこと。「とても濃い3週間で、行って良かった」と充実していた様子が表情からもわかる。
2020年は進化した伊藤のボールを見られることが楽しみだが、伊藤の中ではどのようにリリースをしているのか。そのイメージを語ってもらった。
「絶対に無理なんですが、自分の中ではリリースの時に指先にボールを乗せたいんです。そこでボールを切るイメージでストレートを投げています。ボールを押したり、撫でる感じで投げてしまうと弱いボールになってしまうんです。
しかし指先でバチンと切れるように投げられると、しっかりボールにスピンを利かせて質の良いボールを投げることが出来ています」
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質の良いボールを求め、先発で3勝を掴む
身体を大きくすると、球速アップばかりに目が行くが、伊藤はあくまで求めるのはボールのキレだ。
「150キロオーバーを投げるのは見栄えは良いですし、常に投げたい気持ちはあります。けど質の良いボールを投げ込めば、数字も結果として出ればと思っています」
そしてもう1つ。伊藤はピッチングの中で大事にしていることがある。それは足を上げるタイミングだ。
「タイミングの取り方は毎日身体の調子が違いますので、引き出しは増やすようにしていますが、基本的には2回上げる時のタイミングを大事にしています。この動きで軸足にしっかり重心を乗せつつ、フォームに勢いをつけられるので、気を付けています」
足を2度上げる二段モーションは、伊藤の中で投げやすいフォームを探してきた中で、自然に身についたもの。だが、足の上げ方1つが、軸足への重心の乗せ方が変わり、その後の動き。つまりはリリースの部分まで関係する。伊藤にとっては大事なポイントとなっている。
今年は伊藤にとって勝負の3年目。「秋からウインターリーグと、ずっと先発のつもりで取り組んできました。入団の時から先発ローテーション入りは目指してきましたが、今年はより一層強いです」と強い覚悟をもってシーズンに入っている。
そんな伊藤に2020年への意気込みを語ってもらった。
「まずはローテーションに入ることが第一です。2019年は1軍で1勝もできず、優勝した2018年は3勝しましたが、中継ぎの2勝でした。ですので、先発で3勝することを身近な目標です」
パ・リーグ屈指の破壊力を持つ埼玉西武ライオンズ。強打で連覇を果たすことが出来たが、日本一には届いていない。不安材料となっている投手陣の救世主に伊藤がなれれば、チームの日本一は近づくのではないだろうか。
勝負の3年目を迎えた伊藤の活躍に注目だ。
(記事=田中裕毅)
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