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公式戦が開催できる状況になれば…今年の岡山学芸館は昨年甲子園出場チームを上回る「タレント集団」だ!

2020.04.08

 昨夏、決勝戦で倉敷商との決勝戦で接戦の末に2対1で破り、4年ぶり2度目の夏の甲子園の切符を掴んだ岡山学芸館。初戦では広島商と対戦し、持ち味の粘り強さを発揮して6対5で勝利。悲願の全国での1勝をもぎ取ることができた。

 秋は県大会まで勝ち進んだが、ライバル・おかやま山陽に2対3で惜敗。2回戦で姿を消すこととなったが、夏は優勝候補の一角として注目されることになる。そんな岡山学芸館のキーマンたちを紹介すると、とても楽しみな顔ぶれが揃っていることがわかった。

どちらも140キロを投げる、世代屈指の左右のWエース

公式戦が開催できる状況になれば…今年の岡山学芸館は昨年甲子園出場チームを上回る「タレント集団」だ! | 高校野球ドットコム
仲村竜

 岡山学芸館には、昨秋の明治神宮大会を制した中京大中京高橋宏斗松島元希の左右のWエースに勝るとも劣らない新2年生投手がいる。それが仲村竜西村陸努だ。

 沖縄出身の仲村は、145キロ近くの球速をマークする大型右腕。高校1年夏からベンチ入りし、昨夏の甲子園・作新学院戦でも登板しており、すでにプロのスカウトからも注目されている。実力の高さ以外にも光るものがあることを、指揮官の佐藤貴博監督は語る。

 「中学生の時から考え方が大人です。周りから『凄い』と言われても驕らずに、きっちり努力を続ける。それでいて落ち着いていて負けん気も強いんです」

 甲子園でもベンチ入りして全国クラスの投手を間近で見たことで、仲村はさらに練習に打ち込むようになった。また、味方のミスや四球を出しても顔色を変えず淡々と投げる。さらに普段の学校生活からも落ち着いた佇まいで過ごしているなど、甲子園を通じてメンタルが大きく成長し、エースともいえるオーラが出てきた。

 そして、入学時から我慢強く取り組み続けた体幹トレーニングが実を結び、フォームに安定感が生まれた。
 「体幹が良くなると体のブレが減りますので、フォームが安定します。それがコントロールの向上に直結しますので、制球が安定し始めました」

 現在は140キロ以上のボールを投げるために、いかに力まずに投げ込めるか。そこを課題に据えて、将来的には「2年生で150キロ、3年生で155キロ」を考えてやっているはずだと佐藤監督は話す。

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西村陸努

 その仲村と同学年でライバルとなるのが左の西村。大阪から岡山へ来た西村だが、球速は140キロ近くをマークしており、仲村同様、夏の甲子園ではベンチ入りを果たしている。こちらも世代を代表する左腕として期待がかかる。
 「性格としては相手がどれだけ強くても、どんどんストレートで押していきます。しかもボールには強さがありますので、その良さを無くさないように育てているところです」

 佐藤監督はイメージとして西村のボールは、「バレーボールが来る」ようだと説明。またチームで月に1度だけ投手陣は球速やボールの回転を計測する。

 数値によって、今後の方針を固めていくが、仲村はスピンの利いたボールを投げ込むのに対して、西村はジャイロ回転をしている。まさに「暴れる」ようなボールが西村最大の武器。すると佐藤監督はこんなエピソードを持ち出す。
 「打者に当ててしまうことがあるんですが、打者はボールを捉えようとスイングをしてしまうんです。ストレートでも変化球でも空振りをするのですが、それだけ打者はボールが来ていると認識しているので、『本物のボールだな』と思っています」

 また左打者のインコースにも投げ込めるため、ストライクゾーンを広く使ったピッチングができること。そして一冬かけてファーストを練習してきたことで、フィールディングだけではなく、牽制の技術も向上。さらに、バッティングでも光るものを持ち、「5番をやってくれないか」と佐藤監督の中では構想を立て、投打の活躍を期待している。

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昨夏を経験する2人の捕手

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外間慎祐と溝上孟瑠

 仲村、西村の左右のWエースがいるが、2人をはじめチームをまとめる扇の要となるキャッチャーを務める、溝上孟瑠外間慎祐が注目野手となる。

 現在は溝上が正捕手を務めるが、昨夏の大会前までは外間が正捕手。同学年が切磋琢磨している状況だが、2人の違いを佐藤監督はこう語る。
 「溝上は強気なリードを見せますが、外間は安全なリードをする。性格が全く違いますので、リードにも違いがあります」

 現在の正捕手・溝上は内角も使う強気なリードを武器に甲子園でもマスクを被った。そして責任感もあるところを評価されて新チームでは副主将、さらに打線では4番に座るなど攻守にわたってチームの柱といえる存在。2年連続甲子園に向けてキーマンとなるが、ここまでで成長してきたのは心構えにあった。

 「新チームになったときは投手と息が合わない場面もありました。担任の先生もやっていましたので、人に合わせることや気持ちを理解すること。そして野村克也さんの本も読ませて感想を書かせたりして、捕手というものを伝えてきました」

 これからも実戦で模索をしながらキャッチャー・溝上の完成形を見せていくことになる。そんな溝上のライバルとなる外間は現在、外野手へコンバートされた。
 「外間は人が好過ぎるくらい優しいんですが、運動能力が高いです。50メートルは6.2、6.3秒で、ホームランも13、14本とチームで一番打っています」

 チーム一の打力だけではなく脚力もある。身体能力の高さが魅力であり、新チームになりコンバートしたが、秋季大会ではエラー。試合にも敗れ、悔しい結果となった。
 「不慣れで急造でした。けどミスを認めて練習不足を解消するために自分から進言してノックを受けていました。キャッチャーと外野の両方を受けていますし、意識しているのは分かります」

 岡山には中国地区王者・倉敷商がおり、他にも創志学園。また関西おかやま山陽と連覇は簡単ではない。しかし甲子園を知るメンバーが集大成となる夏にどのようなパフォーマンスを発揮するのか。今回紹介した4人をはじめ、岡山学芸館の連覇に挑む夏に注目をしたい。

(文=田中 裕毅

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