中京大中京vs明徳義塾
中京大中京が走攻守に充実ぶりを示して明徳義塾にコールド勝ち!ベスト4進出

高橋宏斗(中京大中京)
第50回記念となった明治神宮大会。秋季地区大会優勝校10校が集結して来春のセンバツの前哨戦的な意味合いも強い大会だが、最後に登場したのが東海地区の優勝校中京大中京だ。今秋は、高橋宏斗君と松島元希君という右と左の好投手がいるということで、前評判も高かったが、その期待通りに愛知県大会~東海大会を制しての進出である。高橋投手は今大会出場校の投手でも最速ではないかと言われる147キロをマークした快速投手だが、巧みにチェンジアップも駆使している。速さだけではない投球の上手さも示して、この日は明徳義塾相手に7回で10奪三振で4安打完封。さらに評価を上げた。
強豪校同士の対戦で、厳しい競り合いが予想されたが、試合そのものは高橋君の好投もあって中京大中京が攻守に圧倒した形となった。
初回はともに先頭打者が安打で出るが、お互い攻めきれなかった。
そして2回、中京大中京は先頭の5番吉田君が失策で出ると、続く南谷君の左越二塁打で長躯ホームインして先制。さらに桑垣君のバントが安打になり一三塁。盗塁もあって一死二三塁から、9番村上君のスクイズで2点目が入った。相手のミスに付け込みながら、長打と緻密さで攻め込んでいく。まさに伝統の中京や球は令和の時代になっても健在だということを示す戦いぶりだった。
これで優位になった中京大中京は5回にも代木君をリリーフした2番手の畑中君に対して死球の西村君をバントと内野ゴロで進めて相手失策で加点。6回にも四球と桑垣君の二塁打で二三塁としたところで、人工芝に足を取られた形の失策などもあってさらに2点が入る。
そして7回には明徳義塾はエースナンバーを付けた新地君を投入したものの、中京大中京は印出君の二塁打や吉田君のバント安打、失策も絡んで3点が入って8対0となった。そのリードで、高橋君は余裕の投球で7回も3人でぴしゃりと抑えてコールドゲームが成立した。
明徳義塾の馬淵史郎監督は、「今日は、全国ということを考えると、この先は新地(投手)一人ではやっていけないから、次の投手を育てるということも考えての起用やったけれども、走攻守、すべてにおいて相手が上やったね。特に、高橋君は、今年対戦したすべての投手の中で一番いい投手だった。ストレートの球筋がいいんやろうね。分かっていてもなかなか打ちきれん」と脱帽していた。それでも、「来年センバツは楽しみにしてください」と一冬超えてのチームの成長へ向けては秘策があるようだった。
ほぼ快勝と言っていい形の中京大中京。高橋源一郎監督は、「高橋宏斗が粘って投げて僅差で行ければと思っていたけれども、ウチにはいろんな部分にツキもあってこういう点差になった」という感想だった。高橋宏斗君に関しては、「県大会の後、東海大会では少し調子が落ちていたのだけれども、この大会にはいい感じでは入れていた。走者を出すこともあったけれども、丁寧に投げていたのがよかった」と、概ね合格点を与えていた。
万全の状態を感じさせる中京大中京。今後の戦いも楽しみである。
(文=手束 仁)