明徳義塾vs星稜
27年ぶりの対決!明徳義塾、畳みかける攻撃で星稜を下す

先発・新地智也(明徳義塾)
松井秀喜を5打席連続で敬遠したことで球史に残る1992年の明徳義塾と星稜。その両校が、27年ぶりに対決した。明徳義塾の監督はあの時と同じ馬淵史郎。星稜の監督は当時遊撃手だった林和成が務めている。星稜の林監督が、「意識しないようにしていますが、全く意識しないというのは嘘になります。(馬淵監督は)百戦錬磨の監督ですからね」と言えば、明徳義塾の馬淵監督は、「意識はしていないです。この試合をどう指示するか、選手をどう鼓舞するかを考えています」と語る。
星稜の先発、右腕の荻原吟哉も明徳義塾の先発、左腕の新地智也も、1、2回を無失点に抑えたが、先制したのは星稜だった。3回裏二死一、三塁から4番・内山壮真はやや詰まりながらも、しっかり振った分、打球はレフト前に抜け、1点を先制した。
しかし明徳義塾はすぐに反撃に出る。4回表2番・合田涼真の内野安打、3番・鈴木大照の右前安打、4番・元屋敷大誠の死球で無死満塁とし、5番・新澤颯真の右前安打で同点、6番・今釘勝の右犠飛で逆転する。さらに暴投、捕逸と、バッテリーエラーが続き、この回明徳義塾は4点を入れる。星稜の捕手の内山は夏までは遊撃手。「急造でやっているので、責められないところがある」と、星稜の林監督は語る。
一方明徳義塾は、小技は使わずに一気に攻めにかかる。5回表も、9番・新地の二塁打と敵失で無死一、三塁としたが、明徳義塾ベンチは動かず2番・合田は三振。しかし3番・鈴木はレフトスタンドに突き刺さる3ランを放ち、一気に突き放した。明徳義塾はこの大会、小技は使わず攻めの姿勢を貫く方針だ。全国大会で勝ち進むにはビッグイニングを作らないといけない、という馬淵監督の思いからだ。チャンスに畳みかける攻撃で、明徳義塾が6点をリードする。
それでも星稜は、5回裏に二死二、三塁から5番・中田達也がライトオーバーの二塁打を放ち2点を返し、反撃する。
しかしながら明徳義塾は6回表に二死一、三塁から1番・奥野翔琉の二塁打で1点を追加する。
星稜は、8回裏は7番・倉知由幸の本塁打、9回裏は街道陸の二塁打などで1点ずつを返したが、反撃及ばず、27年前と同じく明徳義塾が星稜を破った。しかし今回は、文句なしの力で押し切っての勝利だった。安打数はともに11本。けれどもチャンスをしっかり物にした明徳義塾が力を見せつけた。明徳義塾の馬淵監督は、「いいところで、ヒットが出た。でもどう転ぶか分からないゲームでした」と語った。
一方敗れた星稜の林監督は、「思うような展開に持っていけませんでした。しっかり修正していきたい」と語った。とはいえ、明徳義塾との27年ぶりの対戦について改めて、「馬淵さんと試合ができるのは、喜びでしかありません」と語った。
前回の対戦は松井の敬遠策が物議を醸し騒然としていたが、27年の歳月が流れた今回の試合は、さわやかな印象が残った。
(文=大島 裕史)