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今秋のドラフト候補で、たぐいまれな強肩と優れた守備力で高い評価を得ている東海大の海野隆司 選手。後編では東海大に進学し成長した秘訣、侍ジャパン大学代表に選出されてからのお話を伺いました!
前編はこちら!
今秋ドラフト候補!二塁送球タイム最速1.72秒の強肩の持ち主・海野隆司(東海大)【前編】
スローイングの意識を変え更に成長を遂げる!
ミットを構える海野隆司(東海大)
東海大へ進学した海野だが、最初の2年間はなかなか結果が出ずに苦しんだ。「2年の春頃は試合には出場していたんですけれど、他にキャッチャーがいなかったから出ていただけで、実力もなかったし、自信もなかった。自分がしょぼい選手だと感じて、『野球をするのがしんどいな』とさえ思っていました」。
このような感情のまま1年近くを過ごしたが、2年秋のシーズンを終えたときに意識を変えたのだという。「開き直って、『自信はないけれど、それでも自信を持ってやろう』と思ったんです」。
すると、不思議なことに心に余裕が生まれてきた。「公式戦に出場させてもらっていた経験が活きたところもあると思うのですが、心に余裕ができたことで考えてプレーできるようになったんです」。
そして、その余裕がスローイングに対する意識も変え、高校時代は力任せにただ強く投げているだけだったのが、より高い「安定性」を求めて投げるようになった。
そこで、海野選手に現在のスローイングについて聞いてみた。
Q. スローイングで一番、大切にしていることは何でしょうか?
A. 足の使い方です。肩が強くても、足の運び方がダメだと送球が安定しませんから。
Q. 実際にはどのように足や体を動かしているのでしょうか?
A. 最初は左足を少しだけ後ろへ引いて、ヒザをやや下向きに寝かせるようなイメージで構えます。そして、捕球前は動きやすいように重心を左右に動かし、それに伴って体も少しだけ左右に揺らします。いざ走者が走ってきたら、左側に重心を傾けてから半身でボールを捕球するようなイメージで体を動かします。
Q. スローイングのときのコツはあるのでしょうか?
A. ボールを投げるときは、なるべく体勢を低いままに保つことです。そうすれば目線が激しく上下することがないので、送球も安定してくると思います。
Q. ボールを投げるときは、どこを狙って投げているのでしょうか?
A. よく「ベースの上に投げるように」と言われますが、自分はランナーが滑り込んでくるところ。つまり、ベースよりもやや一塁寄りのところを目掛けて送球しています。
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トレーニングの重要性を学びリーグ首位打者を獲得!
打席に立つ海野隆司(東海大)
昨夏は侍ジャパン大学代表に選出され、オランダで開催されたハーレム大会に参加。すると、決勝戦のマスクを任されるなど全試合に出場し、優勝に貢献した。
「自分が選ばれるとはまったく思っていなかったんですが、大学代表の生田(勉)監督(亜大)が自分の守備を評価してくださったので、今では『守備に自信があります』と胸を張って言えるようになりました。そして、レベルの高いピッチャーのボールを受けるだけで良い経験になりましたし、今年も2年連続で選ばれたらもっと自信になると思います」
バッティングについては昨春、リーグの首位打者を獲得。「元々は全然、打てなかったんですけれど、安藤(強)監督から『バットを肩に乗せて構えるように』とアドバイスされたんです。それで、バットを振った瞬間、本能的に『自分に合っている』と思ったくらい、めちゃくちゃ感覚が良かったんです。それからは打つ前にムダな動きがなくなって、速い球にも対応できるようになりました」。
また、強くスイングすることを心掛けているという。「コーチなどから『強く振らないとダメだ』とずっと言われていたので、連ティーで30球のスイングを何セットもやって強く振れるようにトレーニングしてきました」。
ウエイトトレーニングも積極的に行っている。「120kgのバーベルを担いでスクワット10回を3~4セットやり、下半身を鍛えてきました。このトレーニングで下半身が安定してきたので、バッティングだけじゃなくて、守備でのスローイングにも活きていると感じています」。
そして、「自分はあまりウエイトトレーニングをやってこなかったのですが、高校時代からある程度はやった方が良いのではないかと考えています。トレーニングをしても体が大きくならないという選手もいるとは思いますが、大きくならなくても強くなればいい。体が小さくても飛ばす選手はいますからね。それに、大学や社会人に行ってからも体を大きくすることはできると思うので、まずは強くするのを意識してトレーニングをするのが良いと思います」と続けた。
そして、今春からはチームの4番も任されているが「自分はあまり長打がないので、つなぐことを意識しています。ただ、4番を打つということは期待されているということなので、ここぞという場面で打てる選手になっていきたいです」。
守備力なら大学ナンバーワンと評される海野選手は、チームの成績を上げることで、自らのプロへの道も切りひらこうとしている。
文=大平 明
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