18日から開幕した春季関東大会もベスト4が出そろった。ベスト4に残ったのは東海大相模、山村学園、東海大菅生、専大松戸といずれも南関東のチームが残った。近年は北関東優勢だっただけに珍しい組み合わせだといえるだろう。
両カードとも共通点があって、まず山村学園vs東海大相模はどちらも次が4連戦目、東海大菅生vs専大松戸は絶対的なエースがいて、なおかつ攻守の総合力が高い横綱型のチームということだ。そんな準決勝の見所を紹介したい。
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山村学園(埼玉3位)vs東海大相模(神奈川1位)
左:遠藤成(東海大相模) 右:和田朋也(山村学園)
ここまで1回戦・水戸商をサヨナラで破り、習志野、国士舘と選抜出場2校を破り、勢いに乗る山村学園。その原動力はチーム打率.360を誇る打撃である。
打率.357を誇る強打の1番・平野 裕亮、打率4割の堅守の遊撃手・横田 修大、打率6割越えの大型外野手・坂上 翔悟、1.9秒台の強肩とパンチ力がある強打・橋本大樹など野手はタレント揃い。
ただここまで攻守の核となっていた小林匠は準々決勝での負傷退場が気がかりだ。小林が出られない事態となってもそれを補う打撃を見せていきたい。
投手陣はここまで継投策で勝ち上がってきた。力投を見せるエース・和田朋也は3試合で防御率1.53と好成績を残す。総力戦で勝負をしていきたい。
一方、東海大相模も3連戦を戦い抜いた。ポイントは3戦とも違う投手を起用して勝ち上がっていること。1回戦は遠藤成、紫藤大輝、2回戦は冨重 英二郎 、そして準々決勝は石田 隼都、野口 裕斗と5投手を使っている投手運用は素晴らしい。
一方、打線はまだ本塁打こそないが、チーム打率.344と前評判通りの打力は発揮している。大会前は遠藤、山村 崇嘉、西川 僚祐のクリーンナップが注目されたが、今大会は多くの選手の活躍が光る。
2年生ショートの茂谷 光は10打数7安打を記録。さらに抜群の動きを見せる守備も素晴らしく、日に日に評価が上がっている。俊足巧打のセンタ-・鵜沼 魁斗も打率.615をマークし、対応力が高い打撃を今大会も発揮している。今大会、捕手を任されている萩原 義輝も打率.500と、どの打順でも点が奪えるチームとなっている。
ここまで計画的な投手運用ができている東海大相模が有利なように見えるが、山村学園も、攻略してきた投手は決してレベルが低くないだけに、乱打戦が期待できるかもしれない。山村学園が勝つには打撃戦に持ち込むことが不可欠となる。
[page_break:東海大菅生(東京1位)vs専大松戸(千葉2位)]
東海大菅生(東京1位)vs専大松戸(千葉2位)
左:中村晃太朗(東海大菅生) 右:横山陸人(専大松戸)
東海大菅生は13得点1失点と盤石な試合運びでベスト4まで勝ち進んだ。どの打者がどの打順でも打てるのが強みの今年の東海大菅生は、今大会から1番今江康介、2番小山 翔暉が並ぶ。
これがしっかりとはまり、特に準々決勝の春日部共栄戦では今江が出塁してから小山が安打でつなぎチャンスメイク。また小山が長打を打って、3番成瀬脩人、4番杉崎成が連打で得点をもぎ取る場面もあった。
また下位打線も7番外岡空也を中心に当たりを見せており、投げてはエース・中村晃太朗が11イニング無失点の好投を見せており、まだ投げていない147キロ右腕・藤井翔にも期待がかかる。堅い守備は相変わらず健在で隙が見当たらない。
対する専大松戸は投打ともに総合力とパワフルさを兼ね備え、相手を圧倒する試合運びで勝ち進んだ。まず投手では健大高崎戦で最速143キロのストレートを武器に8回無失点の好投を見せた横山陸人、テークバックが大きいフォームから繰り出す140キロの速球が魅力な杉田智也も桐光学園戦で6回無失点の好投。投手陣は万全だ。
打線も上位下位と切れ目がなく、強肩巧打の1番センター・小泉 将貴、桐光学園戦では3ランを放つなど、パワフルな打球を見せる丹呉 響平、ここまで6打数5安打の活躍を見せる強打の1年生・吉岡道泰は対応力が高く、打撃レベルは1年生とは思えない。
実力は拮抗しており、どちらが勝ってもおかしくない。後半戦までしびれる駆け引きが期待できそうで、その我慢比べを制した方が、決勝戦へコマを進めるだろう。
文=河嶋 宗一