第144回九州地区高校野球大会鹿児島県予選の組み合わせ抽選会が3月3日、鹿児島市の鶴丸高校文化館であり、連合4チームを含む78校67チームの対戦カードが決まった。
大会は21日に開幕し、4月4日まで(※準決勝前日の4月2日は休養日)、[stadium]鹿児島市の平和リース[/stadium]([stadium]県立鴨池[/stadium])、[stadium]鴨池市民[/stadium]、姶良市の[stadium]総合運動公園野球場[/stadium]の3球場で春の九州大会を目指した熱戦が繰り広げられる。開会式の選手宣誓は鹿屋中央の新有留優斗主将(新3年)が務める。九州大会は4月20―25日、鹿児島であり、地元開催のため今大会の上位4校が出場する。
抽選会では、昨秋優勝の神村学園が第1、以下、鹿屋中央、鹿児島城西、鹿児島情報、川内、枕崎、鹿児島商、武岡台、8強以上の成績を残した8校がシードされ、残りチームがフリー抽選で対戦カードが決まった。優勝争いは攻守に安定感のある神村学園を筆頭に、強打の鹿屋中央、鹿児島情報、好投手・小峯新陸(新3年)を擁する鹿児島城西などの私学シード校が中心になる模様。
昨秋の県大会を振り返ると完投能力のある投手をそろえているチームが少なく、荒れる試合が多かった。一冬超えて投手力の整備がどこまで進んだか、夏に向けての注目点に挙げたい。組み合わせを4つのパートに分けて展望を予想してみた。
神村学園を軸に優勝争い
昨秋の優勝校・神村学園
【神村学園―武岡台パート】
第1シード神村学園の力が頭一つ抜けている。荒れた試合が多かった昨秋の中で、中川武海、桑原秀侍の新2年生右腕にリリーフの新3年生左腕・仲間歩夢と安定した投手陣を中心に、全試合無失策で勝ち上がった。打線の力も例年に比肩する潜在力があり、今大会も間違いなく優勝候補の筆頭に挙げられる。ただ、3回戦で樟南との対戦が予想されており一つの山場になりそう。
樟南は強力打線を擁して鹿児島市内新人戦を制したが、県大会初戦で鹿屋中央に打ち負けた。こちらも核になるエースが出てくれば面白いチームになる。第8シード武岡台は久保亮祐、下別府昂希主将の新3年生バッテリーがチームをけん引する。鹿児島中央との鹿児島市内対決は好カード。川内商工―鹿児島も白熱した好勝負が期待される。
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カギ握る投手陣の整備
3年生左腕・沖田龍之丞(鹿児島情報)
【川内―鹿児島情報パート】
第4シード鹿児島情報は新2年生が中心だが、チーム力は高い。昨秋は準決勝で鹿屋中央と対戦し、序盤で5点差を追いつき、中盤の3点差も追いつき、延長12回、3時間40分に及ぶ死闘の末惜敗した。新3年生左腕・沖田龍之丞の復調が一つのカギになりそう。
川内は祝迫駿輔主将(新3年)ら前チームからの経験豊富な新3年生がチームをけん引する。エース松永希皇真(新3年)が故障で投げられなかった分、新2年生右腕・富濵哲至が投手陣の柱となって活躍した。鹿児島玉龍との初戦は今大会最も注目する初戦の好カード。鹿児島玉龍は昨秋・鹿児島城西に初戦敗退だったが潜在力は高い。強力打線を擁する尚志館、れいめいの川島学園勢も夏に向けて結果を残して夏への自信にしたいところだ。
【鹿児島城西―枕崎パート】
注目の好右腕・小峯新陸(新3年)を擁する鹿児島城西は実力的には神村学園に匹敵するものを秘める。エースで4番の小峯は189センチの長身から投げ下ろす直球には角度と球威がある。昨秋は準決勝で神村学園に4点先行しながらも1点差で涙をのんだ。3回戦での対戦が予想される鹿児島実戦は序盤のヤマ場。昨秋も対戦しており、鹿児島実はリベンジに燃える。軸になるバッテリーが定まらず、昨秋は戦い方が安定しなかった。このあたりがどう改善されたか。
第6シード枕崎は好左腕・上野倖汰(新3年)を擁し、打線にも粘り強さがある。智将・小薗健一監督が掲げる「守り勝つ」野球で上位に食い込みたい。鹿児島池田―国分中央は好カード。姶良地区の雄・加治木工の戦いぶりも注目したい。
強打のチームを引っ張る新有留優斗(鹿屋中央)
【鹿児島商―鹿屋中央パート】
昨秋・準優勝の鹿屋中央は新有留主将を中心とした強打のチーム。新有留、池田智雄(新3年)、柊木野太助(新3年)の中軸トリオの破壊力は間違いなく県No.1だろう。打ち合いにはめっぽう強い。課題は投手力。5、6点のリードもセーフティーにならず、追いつかれる試合が昨秋は目立った。昨夏準優勝を経験した福地玲夢(新3年)ら投手陣の奮起が期待される。
第7シード鹿児島商は新3年生中心のチーム。こちらも昨秋は継投で勝ち上がっており、核になるエースの育成が更なる躍進のカギになりそう。鹿児島大島との初戦は好カード。昨夏コールド負けした相手に雪辱して勢いづけたい。竹元希、藤﨑右京の新2年生左腕を擁する鹿児島大島は攻守に安定している。徳之島―種子島の離島対決も面白い試合になりそうだ。
(文=政 純一郎)