学生スポーツならではのチームの思い「最後の雄姿」に注目
昨日(16日)行われた2つの大学スポーツの決勝で共通点がありました。それが「ラストプレーに4年生を起用する」です。
まずはアメリカンフットボールの甲子園ボウル。
関西学院大学は37対20と早稲田大学をリードし、残り26秒。チームとしてのラストプレーで、足をケガをしてこの日はプレーできる状態じゃなかった4年生のエースランニングバック・山口祐介選手がフィールドに立ちました。関西学院大学が大きくリードして、残り時間から勝敗が決していたからこそのチームの選択でしたが、足を引きずりながらフィールドで走る姿には、球場で、TV中継で見ていた方はグッとくるものがあったかもしれません。ビクトリーフォーメーションと言われる、ボールを前に進めず、クォーターバックが膝をつくだけのプレーでしたが、山口選手は甲子園ボウルのフィールドに立つことができました。TV中継の解説者も、「学生スポーツなので、頑張ってきた4年生をフィールドに入れる・・・」と話して、言葉に詰まっていました。『最後の甲子園で山口をフィールドに立たせてあげたい』という学生スポーツならではのチームの思いが溢れていました。
もう1つはバスケットボールの全日本大学選手権決勝。
東海大学が専修大学を88対70で破りましたが、勝敗がほぼ決した残り1分あたりから、両チームとも4年生を多く起用しました。敗れた専修大学は、残り25秒でコートに立つのが全員4年生と言う状況を作りました。
ここでもTV中継の解説者は、「この選手も4年生ですね。4年間頑張ってきた4年生に感謝の気持ちを表すという意味でも、必要なことですね」と学生スポーツならではの光景を話していました。
この2つのスポーツは、自由に選手交代ができるからこそこういった4年生が最後にフィールドやコートに立てる機会が作れるのかもしれませんが。
でも、以前にも書いたように、大学4年生は、社会人やプロで競技を続ける選手、一般就職するなどで競技をこれで引退する選手などと分かれます。高校3年生も最後の大会(試合)は似たような形になりますが、途中で20歳を越え、大人になった大学生の最後の試合には高校生とはまた違った思いや表情がプレーに表れます。
これも学生スポーツの魅力の1つです。
学生スポーツは年末年始にかけても、サッカー、ラグビー、箱根駅伝などが行われます。大学4年生の最後の雄姿、そして大会にかける思いをぜひ応援してあげてほしいと思います。
文:松倉 雄太