10月25日に行われるドラフト会議。ドラフト候補と呼ばれる投手の中で、真っ直ぐの強さではアマチュアトップクラスと言えるのが、日本通運の生田目翼投手だ。
流通経済大では、3年春に全日本大学野球選手権に出場し、チームを準優勝に導いて大ブレイク。卒業後も日本通運に入社し、順調に実績を積んでいる。
今回はそんな生田目投手に独占インタビューを行い、プロ入りに向けての意気込みや今年から兼任コーチとして加入した武田久コーチからの指導などについてお話を伺った。
天真爛漫で素直、そして真面目で熱い
キャッチボールを行う生田目翼投手(日本通運)
「おいナバ、写真撮られてるぞ」
「何かドラフト候補みたいだな」
「ナバ、ちゃんとインタビュー答えろよ」
「ナバ」とは、生田目翼投手の日本通運での愛称である。取材中にも、チームメイトから口々に茶化されるところに、生田目投手の誰からも愛される人間性の良さが現れている。
社会人屈指の速球派としてドラフト候補に名を連ねている生田目投手だが、その素顔は天真爛漫で人間味溢れる、素直で真っ直ぐな青年だ。
プロ入りに向けての意気込みを聞いたところ、実に素直な回答が返ってきた。
「出来るだけ長く野球を出来るように活躍していきたいというのはありますが、30歳を越えて野球をやるって、正直今はイメージが湧かないんですよね」
大学時代には「地元に戻って公務員になり、のんびり暮らしたい」と告白し大きな話題となったが、生田目投手の天真爛漫で裏表の無い真っ直ぐな性格が、こうした発言に繋がったのだろう。
それでも、チームメイトに普段の生田目投手について伺うと、天真爛漫なだけではなく、真面目で気持ちの熱い一面も見えてくる。
「日本通運の1年目の選手は、ボール磨きや用具を出したりと仕事が結構多いのですが、いつも率先して仕事をやっていました。意外と真面目なんですよ」
天真爛漫で素直、そして真面目で熱い。
そんな人間味溢れる要素をいくつも併せ持った性格こそが、生田目投手の一番の魅力なのかもしれない。
[page_break高校時代から変わらない強気な投球スタイル]
高校時代から変わらない強気な投球スタイル
生田目投手の持ち味は何と言っても強気な投球スタイルだ
もちろん、生田目投手の見所は人間性だけではない。大学時代から注目された威力抜群のストレートと強気な投球スタイルは、社会人野球の舞台でも猛威を振るっている。
「強気に向かっていくピッチャーだとは、周りの方によく言われます。逆に言えば、そういう風(強気)に投げていれば、相手バッターも嫌な感じに思ってもらえると思うので、強気に押していくタイプと思って投げてます」
生田目投手は、強気なピッチングは高校時代からだと話す。高校時代は内野手も兼務していたが、「真っ直ぐでバンバン押していタイプ」で高校3年時には、球速は145キロまで到達した。
その後、流通経済大に進学した生田目投手は投手一本に絞り、そこから投手として一気に本格化していったのだ。
「大学1年で149キロくらいまでいきました。でもきっかけがあったわけでは無く、1年目だったので怖いもの知らずというか、とにかく思い切り腕を振る中で球速が出たなと言う感じです。ウエイトトレーニングも大してやっていませんでした」
またコーチからよく言われることも、技術面よりも精神面の方が多かったという。コーチからの指導もあり、打者に向かっていく気持ちは、とにかく大事にしていたと生田目投手は語る。
「もし自分の気持ちが引いてしまって、甘いボールを投げて打たれてしまったら情けないんで。相手に向かっていく気持ちだけは忘れるなと、よく言われていました」
[page_break元日本ハム・武田久コーチも語る「真っ直ぐ」の魅力]
元日本ハム・武田久コーチも語る「真っ直ぐ」の魅力
武田久投手兼任コーチに見守られる中ピッチングを行う生田目投手(日本通運)
そんな生田目投手だが、2年目となる今年に大きな出会いがあった。日本ハムファイターズの投手として活躍した武田久投手が、選手兼任コーチとして日本通運に加入したのだ。プロ入りを目指す生田目投手にとって、これ以上の無い出会いであった。
「高さは気にしなくて良いから、外だったり内だったりコースに頑張って投げようというのは、もう毎日言われています。
あと身体の開きが早かったりとか、手首が寝てしまうとシュートしてしまったり、ボールが引っかかってしまうんで、そこは注意して投げろともよく言われていますね」
指導内容はコントロールのことばかりだと話す生田目投手だが、裏を返せばストレートの強さには大きな問題は無いということである。実際に武田コーチにお話を伺うと、プロの目から見ても生田目投手のストレートには大きな魅力があると語る。
「真っ直ぐにしっかり力があって、どの球団もまずそこを評価していると思います。そこにあとスライダーでそこそこ三振も取れます。僕は先発も出来ると思いますが、欲しい球団の中には後ろで短いイニングでと考えている球団もあると思います。適正としてはあるんじゃ無いかなと思いますね」
もちろん課題が無いわけでは無い。だがそれを補って余りあるほどのストレートが、生田目投手のピッチャーとしての大きな魅力となっている。
「課題しかないです。でも良いところを伸ばして欲しいですよね。四隅にしっかり投げて抑えるタイプじゃ無いので。プロではある程度はコースにしっかり投げて、ファールを取っていきながら有利なカウントでは変化球で打ち取るみたいな。もう真っ直ぐのピッチャーですね」
性格もピッチングも、魅力は「真っ直ぐ」。そんなあまりに人間的な生田目投手に、敵も味方も観客も、皆が吸い寄せられていくのではないだろうか。生田目投手が、日本中のプロ野球ファンを虜にする日が来ることを楽しみに待ちたい。
文=栗崎祐太朗

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