10月25日に行われるドラフト会議。ドラフト候補と呼ばれる投手の中で、安定感ではトップクラスに位置している投手といえば東芝の岡野祐一郎投手の名前が挙がるだろう。聖光学院では甲子園には2度出場し、夏の甲子園の後はU-18代表にも選出。青山学院大進学後もエースととして活躍し、東芝でも1年目から主戦としてチームを牽引している。
今回はそんな岡野投手にお話しを伺い、聖光学院への進学理由や学生野球時代の練習、そしてプロ入りに向けての意気込みを伺った。
中学時代は控えも自ら名門校の門を叩く
岡野祐一郎(東芝)
岡野投手のキャリアは一見、順風満帆に見える。聖光学院、青山学院大、東芝とアマチュア球界の名門を渡り歩き、各ステージで実績もしっかりと残してきた。「エリート」のイメージが先行する岡野投手であるが、意外にも中学時代は控え投手だったと明かす。
「中学生の時は試合に出てなくて補欠でした。初めは地元の宮城県の高校にいこうと思ったんですけど、親戚から聖光学院のオープンスクールがあるから、一緒に野球部も見に行かないかと誘われました。
実際に練習を見にいった時に、ここで野球をやりたいと強く思って進路を変えて聖光学院にしました」
控えから名門への挑戦。言うは易しだが、その決断には大きな勇気が必要であったことは想像に難しくない。そこに不安は無かったのか、岡野投手へ疑問をぶつけてみた。
「だいぶ不安はあったんですけど、入ったらスタートラインは一緒だと思い、入る前から練習はしっかりやっていました。実家からも出ていて、親に不自由なく送り出してもらえたので、期待に応えようとガムシャラにやっていたと思います」
こうして親元を離れて、大きな決意を持って聖光学院へ入学した岡野投手。だが、「田舎からでてきて野球も全然教わってなかった」ということもあり、初めは斎藤監督から技術指導を受けることも多かったという。
「斎藤監督からは、最初の段階から体重移動のことをよく言われました。立った状態から左足でちゃんと受け止める、そういった基本的な体重移動を繰り返し教えてもらいました」
こうした斎藤監督の指導もあり、入学当初は128キロほどだった球速は、高校3年時には140キロに到達。岡野投手は聖光学院のエースへと成長し、春夏連続甲子園出場の立役者となったのだ。
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「心技体」すべてにおいて大きな成長を遂げた大学時代
投球する岡野祐一郎
高校卒業後は、青山学院大へと進学した岡野投手。東都大学野球という高いレベルに身を置いた岡野投手は、ここからさらに大きな成長曲線を描く。
「大学ではすべてにおいてレベルアップしましたが、基本的に真っすぐが速くなり、147キロまで出るようになりました。また、変化球も空振りが取れる変化球を覚えたので、そこで投球の幅が広くなったと思います」
結果にはすべて原因があるというが、岡野投手の場合、球速が伸びた要因は一体どこにあるのだろうか。本人へ聞いてみたところ「直接繋がったかどうかはわかりませんが」と前置きした上で、次のように答えた。
「大学ではウエイトトレーニングをやって、体も結構大きくなりました。そこを頑張った結果として球速が速くなりました」
成長したのはピッチングだけではない。岡野投手は、精神面に置いても大学で大きく成長できたと話す。
「大事な試合を任せていただけるようになって、だんだん粘り強さが出てきたと思います。ランナーが出ても粘って粘ってというか、開き直りが出てきました」
まさに「心技体」すべてにおいて、大きな成長を遂げた大学時代。この頃から、岡野投手は本格的にドラフト候補としてメディアに名前を連ねるようなっていく。
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社会人での飛躍とプロへ意気込み
投球する岡野祐一郎
大学卒業後、社会人野球の名門・東芝へ入社した岡野投手は、ここからさらに円熟味を増していく。1年目から主戦として大車輪の活躍見せると、社会人日本代表として世界の舞台も経験。今や、押しも押されもせぬドラフト候補となった。
「社会人になってからは、意志を持って投球できるようになりました。大学の時は球が速くなったのもあって、ただ思い切り投げてるという野球をしてたんですけど、こう打たせたいからここにストレートを投げようとか考えるようになりました。
指導者の方とか、あとベテランのキャッチャーの方もいらっしゃったので、そのことを口酸っぱく言われて、それで大分変わりましたね」
高校入学当初は、まずは試合に出ることしか見ていなかった岡野投手も、現在ではプロ入りを見据えてさらなる高みを目指している。そんな岡野投手に、最後に理想とする投手像を伺った。
「楽天ゴールデンイーグルスの岸投手ですね。岸投手みたいに、キレのある140キロ中盤の真っすぐと変化球で1年間勝っていく、ローテーションを守って勝っていくピッチャーになりたいと思っています」
「1年間勝てる投手に」
「怪我無くローテーションを守れるように」
取材中に、岡野投手の口から何度も出た言葉だ。常に足元を見つめ、目の前の課題に愚直に向き合い続けてきた岡野投手だからこその言葉だろう。プロの舞台でも課題を克服し続けた先に、岡野投手は一体どれ程の投手になっているのだろうか。岡野投手のプロでの飛躍が今から楽しみでならない。
文=栗崎 祐太朗

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