試合レポート

常総学院vsつくば国際大東風

2018.09.09

常総学院が二桁得点の圧勝で秋季県大会出場権を獲得!

常総学院vsつくば国際大東風 | 高校野球ドットコム
先発・菊田拡和

 秋季県大会の地区予選が始まった。秋季大会ながらこの日は気温は30度を大きく上回り、日差しは痛いくらいに照りつけてきた。

 対戦カードは常総学院つくば国際大東風常総学院は8月に行われた県南選抜大会(新人戦)で優勝を果たした。一方、つくば国際大東風は1回戦を取手松陽に3対2で競り勝ち、2回戦は土浦湖北に3対5の接戦で敗れている。

 先攻・つくば国際大東風の先発は背番号1の右腕・佐賀 叶典が、後攻・常総学院の先発は背番号7の右腕・菊田拡和が任された。

 試合は常総学院が序盤から大量点を奪う。1回裏、常総学院は一死満塁から5番・岡野 優翔のライト前ヒットで2点を先制する。なおも一死一、三塁から7番・菊地壮太のショート内野安打で1点。続いて押し出しで1点を追加する。さらに二死満塁から、1番・手塚 悠のレフト前ヒットで2点。なおも二死一、二塁から、2番・中妻 翔のライト前ヒットで1点。さらに二死一、三塁からダブルスチールで1点を追加してこの回一挙に8点を奪う。

 つくば国際大東風先発の佐賀は最速139キロをマークして球威があるが、コントロールが定まらずに四球。甘く入ったボールを痛打される悪循環に陥っている。

 2回裏、常総学院は全く攻め手を緩めない。四球とライト前ヒットで無死二、三塁から、6番・菊地壮のライト前ヒットで1点を追加する。さらにヒットと盗塁で一死二、三塁から、9番代打・北澤 侑樹のレフト前ヒットで2点を追加する。

 つくば国際大東風は12点を奪われたところで2番手に背番号10の左腕・北原 真聖を送る。しかし北原は3連続四死球で押し出しを与えてしまう。

 つくば国際大東風はここで3番手に背番号11の右腕・菅澤 友翔(1年)を投入するが、常総学院打線は容赦しない。一死満塁から4番・斉藤 勇人のレフト犠牲フライで14点目。四球で二死満塁から、内野安打と送球エラーで3点追加して17点。さらに盗塁で二死三塁から、7番・鈴木 琉偉のセンター前ヒットで18点目を挙げる。

 3回表、常総学院は2番手に背番号11の右腕・和田 流希哉を投入し三者凡退に抑える。

 3回裏、つくば国際大東風は4番手にレフトの守備に就いていた左腕の林 翼をマウンドに送る。林はポテンヒットで安打を許すも後続を絶って無失点にしのぐ。

 4回表、 つくば国際大東風に初ヒットが出る。先頭の2番・信田 光義がレフト前にクリーンヒットを放ってる出塁する。しかし、セカンドゴロで二塁封殺となりチャンスが作れない。

 4回裏、常総学院は二死から6番・菊地壮が左中間にソロホームランを放って1点を追加する。

 5回表、常総学院は3番手に背番号10の右腕・菊地 竜雅(1年)を投入する。後がないつくば国際大東風だが、3者連続三振に倒れて試合終了となる。


常総学院vsつくば国際大東風 | 高校野球ドットコム
エースで4番の佐賀 叶典

 常総学院は貫禄の5回コールドで試合を決めた。4イニングで13安打を放ち、打順は4順したが、3番の菊田 拡和は3打数で当たりがなく、バットに当てただけのライトフライや見逃し三振など内容が良くなかった。

 反面、菊田は先発ピッチャーとして2回を無安打に抑える力投を見せた。バッターとしては豪快なフォームだが、投げてはまとまりのあるコンパクトなフォームで最速138キロをマーク。丁寧に低めに集めてつくば国際大東風打線を全く寄せ付けなかった。

 6番に座った菊地 壮太は4打数4安打で1本塁打と大活躍。左中間へのホームランはライナーでスタンドに吸い込まれていき、打球の速さには目を見張るものがあった。また、5番の岡野 有翔は1打席目に135キロのハイボールを力負けせずにライト前に弾き返して大量得点の口火を切る先制2点タイムリーを放った。

 投手陣は2番手に右腕の和田 流希哉、3番手に菊地 竜雅が登板。菊地竜は最速140キロをマークして三者三振に斬った。

 つくば国際大東風は4回にヒットが出たが二塁を踏ませてもらえなかった。

 特に気付いた点を挙げるとすると守備における外野からの返球だ。常総学院打線はランナーを一塁に置いてヒットを放つと、必ず三塁までの進塁を企図した。それだけの準備をして各ランナーが瞬時にスタートを切っている。
 しかし、つくば国際大東風の外野陣はそれに合わせるように、間に合わないと分かっていても三塁までラインを作って送球するので、その間に全てのバッターランナーが二塁まで到達していた。簡単に二塁に到達させないように見極めて返球ができるようになれば、タダで二塁に行かせたことを起因とする無駄な失点は防げるだろう。その辺の気付きと声の伝達が試合中にできるように、個々人がレベルアップして春を迎えてもらいたい。

 エースで4番の佐賀 叶典は兄・史宗氏(旭川大1年。高校最速145キロ)と同様に馬力のあるボールを投げ込んでおり、ときおりミットに吸い込まれるキレのあるボールは常総学院打線でも空を切った。最速は139キロとなかなかおもしろい投手だが、コントロールが安定せず、ボール球が先行して四球を連発して苦況に立たされた。
 いくらボールに力があっても強豪打線にはたやすく見極められてしまう。佐賀投手の冬場の課題は球威のアップではなく「ストライク率の上昇」に尽きる。また、ストレートは顎を振って投げるが、変化球は全く顎を振らないで投げるので、この点も要修正だ。四球で崩れなくなれば春は県南地区を勝ち上がるかもしれない。

 また、4番手に登板した左腕の林 翼は安定感のある投手でコントロールがまとまっていて試合を作る能力が高い。安定感のある林を先発に据えて、球速のある佐賀を抑えに回すのもありなのではないだろうか。

 

(文・写真=伊達 康

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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