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駒大苫小牧の連覇から10年、北海の準優勝で新時代到来【北海道・2018年度版】

2018.01.30

 北海道の高校野球の歴史を大きく変えたと言われた駒大苫小牧の2004年夏からの連覇、3年連続決勝進出の快挙から10年以上が経過した。その後の、北海道勢の甲子園での躍進は著しい。

北海道の高校野球の歴史を大きく変えた駒大苫小牧

駒大苫小牧の連覇から10年、北海の準優勝で新時代到来【北海道・2018年度版】 | 高校野球ドットコム

駒大苫小牧高校時代の田中将大

 駒大苫小牧は甲子園での初勝利を果たすとそのままの勢いで準々決勝では、大会屈指の右腕涌井秀章(西武→ロッテ)を擁する横浜を堂々と打って倒した。この時点で北海道勢としては1928(昭和3)年の第14回大会に北海中が進出して以来、76年ぶりのベスト4進出となった。準決勝で東海大甲府に打ち勝ち、決勝戦でも春夏連覇を狙う済美と両校合わせて39安打という大打撃戦は逆転に次ぐ逆転というスリリングな内容になったが、最終的に駒大苫小牧が13対10と打ち勝って、初の全国制覇に輝いた。
優勝旗の最北到達地点が、それまでの宇都宮市(作新学院)から東北地方を飛び越えて、一気に津軽海峡まで越えて苫小牧まで伸ばしてしまったのだ。しかも、5試合すべてで2桁安打を記録した。猛打線は脅威で、この大会で残したチーム打率.448はいまだに大会記録である。

 チームを優勝に導いた香田誉士史監督(現西部ガス監督)は九州の佐賀商出身で、95年に駒大関係者の推挙によって監督に就任した。道内出身者ではないことで、却って北海道という土地の持つ特別性を冷静に受け止め、そこで何をするべきかをより早く理解したことも大きかった。室内練習場などの設備の充実を積極的に働きかけるなどの努力で、早く成果を挙げていった。雪や寒さでグラウンドが使用不可能な長い冬のシーズンにも、室内練習場でボールを使用した練習が可能となり、徹底した打ち込みとウエートトレーニングでパワーをつけていった。
翌年も春は初戦突破したものの、2回戦で神戸国際大附に敗れたが、夏は再び快進撃を見せた。初戦で聖心ウルスラに快勝すると日本航空からは13点奪い大勝、鳴門には1対6から7回に5安打を集中させて7対6と逆転勝ち。そして準決勝の大阪桐蔭には延長10回で競り勝って、決勝でも京都外大西に5対3で勝って、48年の小倉以来の連覇を果たした。

 翌春は出場を決めていたものの不祥事で辞退したが、夏は3連覇を目指して出場を果たす。エース田中将大(楽天→MLB)は大会前から注目を浴びる存在となっていた。2回戦は田中が14三振を奪い南陽工を下すと3回戦では青森山田に1対7序盤で大きくリードされながらも、その後は壮絶な打ち合いを演じて10対9と逆転勝ち。さらに東洋大姫路、智弁和歌山と全国制覇の実績がある相手を撃破して決勝進出。決勝では斎藤佑樹早稲田大→日本ハム)を擁する早稲田実と球史に残る熱戦を展開。延長15回引き分け再試合後、翌日の試合で3対4と惜敗して3連覇は逃したものの、この3年間で強い北海道の駒大苫小牧を強烈に印象付けた。

[page_break:駒大苫小牧に刺激を受け、東海大四、北海が躍進]

駒大苫小牧に刺激を受け、東海大四、北海が躍進

駒大苫小牧の連覇から10年、北海の準優勝で新時代到来【北海道・2018年度版】 | 高校野球ドットコム
2016年夏の甲子園で準優勝を果たした北海高校

 個の駒大苫小牧の活躍は、北海道各校に強烈に刺激を与えた。
2015年春には東海大四(現東海大札幌)が、翌年の夏には北海が、それぞれ準優勝を果たしている。

 15年春の東海大四は、初戦で豊橋工に苦しみながらも勝利すると、松山東健大高崎にいずれも一点差で勝利。準決勝では浦和学院を下して決勝進出。敦賀気比に敗れたものの、道産子球児健在ぶりを示した。東海大四は80年代には道内で勢力を示していたが一時低迷。その後復活を果たして、14年夏からの連続出場でたどり着いた決勝進出の実績だった。

 しかし、これらの学校が台頭する以前までは、北海道の高校野球というとイコール北海と言われる時代が長い間続いていた。一時的に低迷期もあったが、11年春にはベスト8に進出するなど復活を示している。その北海が翌年夏には、甲子園で存在感を示す。
2年連続の37回目出場となったこの年、北海は初戦で松山聖陵に競り勝つと、日南学園聖光学院、優勝候補筆頭ともみくされていた秀岳館も下して、決勝に進出。北海としては63年春以来の甲子園での決勝進出となった。
作新学院に敗れはしたものの、「北海道野球健在」というところを遺憾なく示した。

 ところで、70年代から80年代にかけては北海と雌雄を決していたライバルの札幌商は、北海学園札幌と校名変更。80年夏を最後に甲子園出場はない。一時期勢力を示していた函館大有斗も97年を最後に甲子園からは遠ざかっている。

 駒大苫小牧が台頭してきた頃に、そのライバル的存在となっていたのが北照だ。10年と13年春にベスト8に進出している。小樽市にある北照はスキーの名門校として知られていたが、北海道内だけとはいわず、関西など本州からも、甲子園を狙いたいという気持ちの強い選手を広く受け入れて強化してきた。一方で、駒大苫小牧の姉妹校である駒大岩見沢が、少子化の波で閉校の流れとなったのはいささか寂しい。

 新しいところでは16年、17年と春に連続出場を果たした札幌第一札幌日大北海道日大から埼玉県の花咲徳栄埼玉栄の佐藤栄学園の系列校となった北海道栄札幌大谷立命館慶祥、高校ラグビーの強豪札幌山の手なども上位を狙っている。

 公立勢では、21世紀枠代表で出場して実績を作ってその後も甲子園出場を果たした鵡川札幌南苫小牧東小樽潮陵といった旧制中学の流れを汲む名門校に札幌清田札幌新川などが食い下がっている。

[page_break:北北海道は旭川勢が健闘]

北北海道は旭川勢が健闘

駒大苫小牧の連覇から10年、北海の準優勝で新時代到来【北海道・2018年度版】 | 高校野球ドットコム

センバツ準優勝に貢献した東海大四(現・東海大札幌)の大澤志意也

 これに対して北北海道勢では、
活発な動きのある南北海道に対して、北北海道の話題がいささか乏しいのは否めない。そんな中で勢力図式としては旭川龍谷旭川大高(旧北日本学院)が両雄として存在し、95年夏に初出場でベスト8に進出し、4年後の夏も甲子園で2勝した旭川実は、03年春には当時は存在していた希望枠(秋季大会の守備率の最優秀校に与えられた)でセンバツ出場を果たしている。甲子園での勝数としては、北北海道勢で一番である。07年春には旭川南が初出場。これら[stadium]スタルヒン球場[/stadium]のある旭川勢が安定した力を示している。12年夏に出場した旭川工や04年夏、05年夏と連続出場した旭川北も健闘している。

 これら旭川勢以外では、十勝勢の帯広帯広南商と、体育コースを設置してスケートアスリートの育成などで知られている白樺学園あたりが安定している。白樺学園は帯広からほど近い芽室町に学校があるが、06年以降で3度甲子園出場を果たしている。14年夏には日本最東端の根室市にある武修館、13年夏には杉浦稔大(國學院大→ヤクルト)を輩出している帯広大谷がいずれも初出場を果たしている。
また、16年夏には通信制の学校に希望を与えたクラーク国際記念なども台頭して初出場を果たす。そして、17年夏には市立の滝川西が、決勝で白樺学園を延長で下して19年ぶり3回目の出場歩果たしている。小野寺大樹監督は、鵡川時代には佐藤茂富監督の下で部長として甲子園に導いていた。
21世紀枠代表校としては12年に女満別、13年には遠軽と旭川と網走をつなぐ石北本線沿線の各校が選出されている。

 北海道の場合、とくに北地区では少し対外試合で経験を積もうと思っても、同地区以外の学校と対戦するとなると、3~4時間をかけて移動しなくてはならないという地理的ハンデは否めない。これだけは、いかに施設を充実させたとしても、どうしようもない物理的な問題でもある。その克服も、今後の中では北北海道勢としては大きな取り組んでいくべき課題と言えそうだ。

 それでも、指導者たちの熱い思いが、それぞれ中で夢を実現している姿には敬服する思いだ。

(文:手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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