盛岡大附vs創志学園
3回までビッグ4だった髙田萌生 盛岡大附の猛攻に遭う

髙田を引きずり下ろす本塁打を放った塩谷(盛岡大附)
7日目の登場となった創志学園の先発・高田 萌生(3年)は、既に登場して活躍している藤平 尚真(横浜)、寺島 成輝(履正社)、今井 達也(作新学院)の存在を強く意識したのだろう。
初回からストレートの伸びが素晴らしく、低めのボールが加速するように打者近くで唸りを挙げる。先頭打者を四球で歩かせ、セットポジションになってもこの伸びは失われない。下半身が先導して上半身を引っ張るという形になっていないとこの伸びは生まれない。
また、体格が春にくらべて立派になった。名簿には178センチ、75キロとあるが、体重が82、3キロあるように見える。この見た感じはピッチングの安定感にも反映され、軸足で立ったときの安定感がセンバツのときとは雲泥の差だった。体作りが順調に進んでいるなと思った。
球速は148キロからスタートして149、150、152とどんどん加速して、それが棒球でなく、「ストライク」とコールされなくても微妙なコースの低めにビシッと決まる。大会前、高田の調子のよさを見た長沢 宏行監督が「この大会で157キロ出す」と記者の前で語ったというが、それが誇大発言に聞こえない。本当にやりそうな気が3回までしていた。
変調は4回に訪れた。1死後、3番植田 拓(2年)にレフトスタンドに放り込まれると、4番から3連続四球を与え、7番打者の二塁ゴロで2点目、8、9番打者に連続安打されてこの回4点を失い同点にされてしまう。
さらに5回には前イニング同様、打者9人を送る猛攻にあい4点失い、スコアはあっという間に盛岡大付の8対4になっていた。マメがつぶれたとか、脱水症にかかって足がつったというのではない。長澤監督と高田は低めを意識したとたんにスピードが落ち、それを狙われたという。創志学園のコーチはスタンドで見ていたと前置きしてから「暑さでボーッとなっていたように見えた」と言った。
さらに、「高田が悪いときは、斜めに曲がるはずのスライダーが横に曲がる」と言い、植田にホームランを打たれたあとはそういう変化になっていたという。「自分の中で修正しきれなかったんでしょう」というのが同氏の結論である。
5回3分の2を投げて被安打11、与四球5、奪三振5、自責点10という内容で沈没したわけだが、藤平や寺島に劣らない存在感は十分に見せた。3回まで、という限定付きで言わせてもらえば、作新学院の今井を加えた4人が私の中でビッグ4になった。先に登場して大きくマスコミに取り上げられた藤平、寺島、今井の存在が高田のライバル心を鼓舞しすぎたのだろう。
(文=小関順二)
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