試合レポート

秀岳館vs常葉菊川

2016.08.12

秀岳館、常葉菊川共に見逃し率15パーセント以下の好球必打!

 初戦同士では最も好ゲームが期待された試合はその通りに白熱した。私が「ノーガードの打ち合い」と言うと、隣のスポーツライター氏から「しっかり守っているのでノーガードではありません」と訂正が入った。その通りで、両校のキャッチャー、ショートがとくに素晴らしい守りを見せた。

 キャッチャーは常葉菊川米澤 利紀(3年)、秀岳館九鬼 隆平(3年)で、二盗阻止が目的の二塁送球タイム(イニング間)は米澤が最速1.95秒、九鬼が1.85秒と超高校級の迫力。とくに九鬼の強肩は破格で、1回にはヒットで出塁した3番の二盗を阻止。このときのタイムが2.08秒と上々だった。この回以降、常葉菊川は走者が出ても走れず、5回と7回には二遊間が絡んだ併殺を記録しているので、九鬼の強肩が常葉菊川の作戦を1つ抹消したと言っていい。

 肩だけではなくリードも攻撃的で、守っているのに常葉菊川を攻撃しているような錯覚さえ覚えたほどだ。とくに効果的だったのがチャンスメーカーであり得点源でもある1番栗原 健(3年)への攻め。栗原はバットをしゃくり上げるアッパースイングばかり話題になるが、ボールに向かっていく攻撃的スタイルに特徴がある。

 その栗原に対して九鬼は内角に構えることが多かった。第1打席でショートゴロに打ち取っているが、フルスイングを許さない厳しいコースに配球されたもので、打った瞬間栗原は驚いたような、怯んだようなアクションをとった。6回には9番山本 雄大(3年)にレフトスタンドに撃ち込まれているが、攻めの配球なので一発は仕方がないと思う。

 攻撃陣では両校とも好球必打が目立った。「全投球に占めるストライクの見逃しの割合」いわゆる見逃し率はともに15パーセント以下。高校野球では20パーセント以上も珍しくないので、両校の積極的なバッティングは評価していい。

 当然、バントは少ない。常葉菊川0個、秀岳館1個という結果を「淡泊」と見るか「攻撃的」見るかで野球観はまったく変わってくる。私はもちろん後者である。

 1対1の均衡を破ったのはホームランだ。7回裏、先頭打者の6番廣部 就平(3年)の放った打球は[stadium]甲子園[/stadium]特有の浜風にも乗ってレフトスタンドに飛び込むソロホームラン。これを合図にしたように7番以降がヒットと四球で出塁し、2番松尾大河(3年)が左中間を破る二塁打を放って2人の走者を迎え入れ、試合を決定的にした。

(文=小関順二

秀岳館vs常葉菊川 | 高校野球ドットコム
注目記事
第98回全国高等学校野球選手権大会 特設ページ

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2023.11.30

【一覧】2023年 プロ野球 引退・退団・戦力外選手リスト

2023.12.01

ドラフト3球団競合・高橋純平が引退!2015年ドラ1たち「8年後の明暗」、 メジャーリーガーからスカウト、軟式に転向した選手など多種多様

2023.11.30

「現役ドラフトの星」細川 成也(中日)の高校時代、「入学当初はまったくバットに当たらない選手」だった

2023.12.01

3球団競合1位も実働は1年のみ 高橋純平(ソフトバンク)が現役引退! 故障に苦しんだ日々

2023.11.30

2020年阪神ドラフトが早くも「伝説」レベル!MVP・新人王に3年連続20本塁打のスラッガーが誕生

2023.11.30

【一覧】2023年 プロ野球 引退・退団・戦力外選手リスト

2023.11.28

中日で復活を狙う中島宏之、24年前のドラフト同期はあの監督! じつに18人が逆指名で入団

2023.11.26

4年ぶりの神宮優勝の慶應義塾大卒業生の進路を発表!ソフトバンク廣瀬など継続者は7名!一般就職も大企業ばかり!

2023.11.25

【12月16日に開催!】NPBとメジャーで100名以上のトレーニングを指導! 凄腕トレーナーによる速球とスイングスピードを上げるセミナーを開催!!

2023.11.29

國學院大が新体制を発表!主将は土山翔生!来年のドラフト候補2人が副将に

2023.11.30

【一覧】2023年 プロ野球 引退・退団・戦力外選手リスト

2023.11.11

決勝は国分中央VS神村学園

2023.11.03

「超高校級」と騒がれた4人が入団わずか3年で戦力外通告、現役続行なるか

2023.11.12

2度の指名漏れ 悔しさをぶつけた久保田拓真の3ラン!パナソニックが快勝!<社会人日本選手権>

2023.11.14

大学準硬式が生んだ剛腕・道崎亮太、甲子園で圧倒的な投球を見せて、拓けるか「プロへの扉」<大学準硬式甲子園大会開幕>