Column

OBが語るPL学園の魅力、強さの秘密

2016.07.14

左から なきぼくろ先生、上重 聡アナウンサー、今江 敏晃選手

生きていればOK!も乗り越えれば財産に

 あれだけの人材が集まり高校野球界に君臨し続けたPL学園
圧倒的な強さは、閉鎖された空間での豊富な練習や厳しい上下関係に裏打ちされたものであるという印象が強い。全寮制だったPL学園野球部のあり方に賛否はあるものの、内部にいたOB達は肯定的に捉えている部分が多い。

 PL学園をモデルにした漫画「バトルスタディーズ」を講談社の「モーニング」に連載中のなきぼくろ先生は筋金入りのPLマニアにして甲子園出場経験も持つOB。実体験満載の漫画を読むとかなり過酷な生活だったとわかるのだが、それでも大好きだ!と熱く語る。PLマニアになったきっかけである延長17回の立役者・上重 聡アナウンサーとの対談でも、自身が1年生だった時の3年生、しかも主将の今江 敏晃選手(千葉ロッテマリーンズ)とガチガチの対談を行った際も「なんとかもう1回復活してもらいたい!」と熱望した。

 その今江選手も「3年間頑張った経験はどこでも生きる」と頷く。当時は「生きていればOK」という状況もあったようだが、人間的な成長を遂げられたと高校時代について自身のインタビューでも語った。

 また、PL学園の強さの秘密については松井 稼頭央選手のインタビューにヒントがある。PL学園の自主練習はやはり先輩と行うことが多いそうだが、そこで「人の練習を見て盗む」ことを覚えるとのこと。1年生はTVも見られないため、上達のために身近な先輩をお手本として利用する、と。世代を代表する超一流の選手しかいない空間で、自分の頭で考えながらこれをするのだ。野球に限らない話だが、こんなことが出来る高校生の集団が、強くならないはずがない。

 外からは閉鎖的で重苦しく見える空間かもしれないが、その中での生活を成し遂げた者は、必ず何かを得ている。正負ひっくるめ、これほどまでに徹底された集団はスポーツの現場ではもう後にも先にも出てこないかもしれない。PL学園が紡いできた伝統が途切れようとしている今、存在自体が伝説となってしまう日は近いことに、時代の移り変わりを強く感じる。

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