試合レポート

東海大相模vs智辯和歌山

2015.09.29

最後はホームランで締めた智辯和歌山の主砲コンビ

東海大相模vs智辯和歌山 | 高校野球ドットコム

山本龍河(智辯和歌山)

 壮絶な打撃戦となった一戦。地元・智辯和歌山の長打攻勢に紀三井寺のスタンドは何か満足したような雰囲気であった。
 3回表、1対2と智辯和歌山が1点ビハインドの場面で、3番に入った春野航輝に打席に回った。吉田凌に対し、ストレートに狙い球を絞っていた春野は高めに浮いた初球のストレートだった。左中間に飛び込む豪快なソロ本塁打で沸く[stadium]紀三井寺球場[/stadium]。

 その後も、失点を喫する智辯和歌山だが、自慢の打線で吉田にくらいつく。吉田の出来は敦賀気比戦よりも良く、何度も130キロ後半の速球を計測しており、縦スライダー、カーブのキレも良いが、ほんの少しだけ高めに入る時がある。そこを智辯和歌山打線が逃がさなかった。

 そして5回表、ここまで通算49本塁打の山本龍河が打席に立った。吉田凌に対して、スライダーに狙い球を絞っていたが、この打席に限りストレートに狙いを定めた。山本は外角直球を捉え、打球は左中間に飛び込む本塁打。滞空時間が長いスラッガーらしい本塁打であった。

 1年秋から野手に専念し、メキメキと本塁打を量産した山本だが、最も快感があるのが左中間に飛び込む本塁打だという。打つときに首を傾けながらスイングする独特の打法。スイング軌道を見るとややアッパー気味だが、ボールを遠くへ運ぶ技術が備わっている。
これで通算50号。山本は、「49号だとなんとなくひっかかりがあるじゃないですか。これで50号で終われたので良かったです」と満足そうに振り返った。

 卒業後は大学で続ける山本。本人は「打撃しかないです」と語るが、ライトから見せる強肩も魅力的な選手。ぜひ強肩強打の外野手として活躍を期待したい。

東海大相模vs智辯和歌山 | 高校野球ドットコム
関連記事
 2015年国民体育大会特設応援サイト


東海大相模vs智辯和歌山 | 高校野球ドットコム

2試合連続本塁打を放った春野航輝(智辯和歌山)

 今度はプロ志望を表明した春野航輝。ストレートを狙い球に絞った理由として、変化球を待ってストレートで振り遅れると詰まってしまう。その詰まりが嫌ということだ。だが、春野の打撃を見ると始動のタイミングが遅い。投手の着地に合わせて始動し、小さくステップをする選手なので、じっくりとボールを引き付けて打ちに行く選手だ。春野は体に力があるので、その体の強さを生かすためにジャストミートすることを心掛ける。そのために春野はボールが見えやすい構えを意識する。

 またステップするときに開きが早すぎないか。微調整を加えながら打席に入っているのだ。第1打席から振り返ると、右飛、本塁打、良い当たりの右飛、二飛とボールは見えているが、本塁打以外、なかなか芯で捉えきれていなかったが、9回表、先頭打者として打席に入る前、春野は5番で主将の西山 統麻にこんな声をかけた。
「走者溜めろといわれる場面だけど、一発狙ってええか」
すぐさま西山は「ええで」と快諾。春野を送り出した。
 そして打席に入った春野。東海大相模バッテリーは低めにスライダーを投げて空振りを狙う配球。しかしそのスライダーが真ん中高めに浮いた。強振した春野は本塁打を確信して、ゆっくりと打球の行方を見る。打球は場外へ消えていった。試合は7対10で敗れたが、春野は5打数2安打2打点2本塁打。三振1つもすること終わった。最後の舞台で精一杯のアピールができただろう。

 この3ホーマーに投げた吉田は、「ちょっとすごすぎです…甲子園で対戦しなくてよかったです」と脱帽。
 春野は「最後の打席で本塁打で終えることができて良かったです」と笑顔を見せた。
 そしてプロ入りへ見据えて、夏の甲子園後に木製バットに握り替えて打撃練習。今ではオーバーフェンスも連発することも珍しくなく打球を飛ばせるという。なかなか少ない右打ちのスラッガー。一塁手ではあるが、魅力たっぷりの春野に吉報は届くのだろうか。

(文=河嶋 宗一

東海大相模vs智辯和歌山 | 高校野球ドットコム
関連記事
 2015年国民体育大会特設応援サイト

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.26

新潟産大附が歓喜の甲子園初出場!帝京長岡・プロ注目右腕攻略に成功【2024夏の甲子園】

2024.07.27

昨夏甲子園4強・神村学園が連覇かけ鹿児島決勝に挑む!樟南は21度目の甲子園狙う【全国実力校・27日の試合予定】

2024.07.26

名将の夏終わる...春日部共栄・本多監督の最後の夏はベスト4で敗れる【2024夏の甲子園】

2024.07.26

報徳学園が3点差をひっくり返す!サヨナラ勝ちで春夏連続甲子園に王手!【2024夏の甲子園】

2024.07.26

「岐阜県のレベルが上がっている」県岐商が2年ぶりの決勝進出も、岐阜各務野の戦いぶりを名将・鍛治舎監督が称賛!【24年夏・岐阜大会】

2024.07.25

まさかの7回コールドで敗戦...滋賀大会6連覇を目指した近江が準決勝で涙【2024夏の甲子園】

2024.07.24

享栄、愛工大名電を破った名古屋たちばなの快進撃は準々決勝で終わる...名門・中京大中京に屈する

2024.07.21

【中国地区ベスト8以上進出校 7・20】米子松蔭が4強、岡山、島根、山口では続々と8強に名乗り、岡山の創志学園は敗退【2024夏の甲子園】

2024.07.21

愛工大名電が今夏3度目のコールド勝ちでV4に前進!長野では甲子園出場37回の名門が敗退【東海・北信越実力校20日の試合結果】

2024.07.21

名将・門馬監督率いる創志学園が3回戦で完敗…2連覇狙う履正社は快勝【近畿・中国実力校20日の試合結果】

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」