東福岡vs美里工
東福岡が初回8得点で試合を決する

濱田駿(東福岡)
「美里工さんが見せた一瞬の隙をこちらがついて、とどめも刺した。そんなゲームでした」
東福岡の葛谷修監督が語るように、1回裏で勝負は決した。二死満塁から、6番森 翔平(3年)が振り抜いた打球はライト前へと運び、まず1点を先制する。打球が速かったため、ライトは一塁へ投じたが、送球が逸れて、さらに二人が生還して3点が入った。この後も美里工のミスが重なり5対0。打順が一巡して二死一、三塁となり、1番佐藤 力也(3年)が高めに入った直球を逃さずにレフトスタンドへ3ラン本塁打。これで8対0とした。
投げては先発左腕・濱田 駿(3年)が好投。常時120キロ後半(最速132キロ)の直球、スライダー、カーブ、チェンジアップを織り交ぜる。球持ちが良いため、手元でも失速せず、球速表示以上に速さを感じ、美里工打線のバットは空を切った。
そして大きく沈むチェンジアップで、美里工打線に凡打の山を築かせた。テンポ、制球力、ともに素晴らしく、実戦的な投手で、130キロ台の直球と変化球とのコンビネーションで勝てる辛島 航(東北楽天)を彷彿とさせるピッチングで、7回コールドゲームながら2安打完封勝利を収めた。
濱田は、
「先頭打者を抑えて、テンポを作ることをマウンドの上では意識しています。美里工さんには胸を借りるつもりで、全力でピッチングをしていました。結果を出せて嬉しいです」と話した。
葛谷監督によると、今日の出来は、濱田本来のピッチングではないという。不調とはいえ、試合をきちんと作れるのは、昨夏から投げている経験が大きいのだろう。

伊波友和投手(美里工)
快勝の東福岡だが、打線は2回以降は無得点。それについて葛谷監督は、
「打線は本当に水物ですからね。でもこの8点で濱田が楽に投げられた。でも、2回以降、うちは点が取れなかった。2回以降、美里工さんは、変化球中心に攻めてきましたが、キレのある変化球を打つのは難しいですね」。
次へ向けての課題を話した。選抜出場の美里工を下してのベスト8進出。投打ともに力強い野球を見せた試合だった。
美里工は一瞬の隙を突かれての失点。野球の怖さを改めて感じた試合だろう。その中でも、1回途中から登板したエース・伊波 友和(3年)はしっかりと好投を見せた。130キロ中盤の速球、120キロ後半のスライダー、カーブ、フォークなど織り交ぜ、無失点。一つ一つの投球は丁寧で、沖縄県を代表する好投手に相応しい投球だった。選抜では140キロ台の速球を計時していたが、夏までさらにパワーアップできるか注目をしていきたい。
(文=河嶋 宗一)