阿南工vs那賀

那賀先発・片山靖大(2年)
正規部員8名の那賀、健闘の敗戦
今年プロ入り5年目・27歳にして中継ぎでプチブレイクを果たした右腕・中郷大樹(千葉ロッテ)の出身高校である那賀。この秋季大会では17名が選手登録され、9月19日には1回で雨天ノーゲームとなった阿南工業との1回戦に臨んだ。
ところが、試合前のノックを見るとどう見ても選手は12人しかいない。しかも背番号二桁の3人は外野手登録にもかかわらずボール拾いやボール渡しに汗を流している。では一体、残り5人はどこへ消えたのだろうか?
「(夏以降7人3年生が抜けて)現在の正規部員は8人しかいません。ですから、残りは野球部以外の運動部の選手で出られる選手を登録して、それで17人になっているんです。ただ、今日は祝日ですから他の部活で試合がある選手がいて…。集まれたのは12人だけでした」(那賀・田村仁監督)。
普通に考えれば勝敗は火を見るより明らかである。ところが、試合が始まってみると那賀は阿南工相手に互角以上の試合を展開した。
まず初回に2度の送りバントで進めた先頭ランナーを4番・日野翔平(2年)が左前適時打で返し1点を先制。3回裏に2点、4回裏に2番・水本健太(1年)からの3連打で3点を失ったものの、5点を追う6回にも7番・加冶本剛斗志(1年)がライト線に落とす2塁打で再び得点。
終わってみれば卓球部からの助っ人として「9番・ライト」に入った島友浩(2年)を除く正規部員8人全員が安打を放ち、5回を除く毎回の13安打。那賀は対戦相手の村瀬義夫監督をして「よく打たれましたね」と苦笑いさせるほどのシェアな打撃を見せ付けたのであった。
「ウチの選手には常に『8人で勝負する』と言ってあります。この試合でヒットが打てたのは上出来ですが、今日も気が抜ける場面がある。そこは改善しないといけないです」と、試合後には選手たちの健闘を称えつつも、さらなる宿題も忘れなかった田村監督。「努力なきところに成功なし」を自ら示してくれた中郷先輩に続くためにも、正規部員8人の進化はこれからも続いていく。
(文=寺下友徳)