上 賢志郎選手 (市立和歌山)

上 賢志郎

球歴:市立和歌山

都道府県:和歌山

ポジション:投手

投打:右 / 右

身長:182.0 cm

体重:80.0 kg

学年:卒業

寸評

 来年の近畿地区を代表する本格派右腕になりうる存在になりそうなのだが、上 賢志郎だ。実に恵まれた体格をしており、まだ与力を感じさせる投球内容には高い将来性を感じさせた。 (投球スタイル) やや上半身が強い体型だが、沈み込ませて投げてから振り下ろすストレートは常時135キロ前後は出ていそう。最速143キロとのことだが、確かに140キロ台は投げられる馬力の大きさを感じさせる。将来的にはコンスタントに140キロ・145キロを投げ込めるポテンシャルの高さを示している。 変化球はスライダー、カーブ、ツーシーム、フォークを投げ分ける。球種は多彩で、どの球種ともしっかりとコントロールしながら、打者の狙いを見て投げ分けているということ。今の時点で落差あるフォークを武器にできているのはよいが、この夏は46イニングを投げて26奪三振と奪三振率は5.08と低い。本格派右腕の一つの指標として奪三振が取れるということは大きな目安になるので、正当な本格派右腕である彼が奪三振率が低いというのは懸念材料である。 (配球) ・右打者 外角中心にストレート、スライダーを投げ分け、時折インコースで揺さぶっていきながら、外角を意識した配球をしている。右打者の攻めはコーナーを意識しているが、カウントを取りに行くストレートが狙われて痛打されることも少なくない。 ・左打者 外角中心にストレート、スライダーを投げ分ける配球を見せている。左打者にはフォークを混ぜていく。フォークの落差は高校生としては中々のレベルで、フォークを打たれることは少ない。 彼は両サイドと低めへ投げ分ける意識だけではなく、自分が何を投げたいのかをしっかりと意思表示する投手。捕手が同い年ということもあり、遠慮なく首を振って納得いくボールを投げる姿を見ると繊細さもあるし、考えながら投球をしている様子がうかがえる。この日は疲れもあったのか。6四死球。本来はもう少し制球力が安定しているのかまだ細かな制球力はない投手だ。 46回 失点13 被安打32 奪三振26 四死球18 防御率2.54 奪三振率5.08  クイックは1.3秒台と基準となる1.20秒に0.1秒足りない。牽制も鋭く入れる投手ではなく、守備の意識もベースカバーが入るのが遅れているのを見ると意識は高くはない。 (投球フォーム) ノーワインドアップから始動する。左足を回しこむように上げていき、右足はやや膝を曲げて、やや捻りを入れていく踏み出しだ。個人的にはあまり良い立ち方とはいえない。左足をショート方向へ向かって伸ばしていき、重心を下げていき、軸足に体重を乗せて、インステップ気味に着地していく。ただ接地自体は早く、タイミングは取りやすい。 左腕のグラブを斜めに伸ばして引き込むが、左肩の開きはまだ早い。接地の早さと開きの早さが打ちやすさにつながっているのではないだろうか。そのため球速の割に打ちやすい。フォークがあっても見極めがしやすい。 捻りを入れて、テークバックは内回りで回旋していき、トップを作っていく。上半身の使い方は問題ないと思うが、彼は下半身とヒップファーストを意識したフォーム。その意識は悪くないし、下半身から始まり、上半身に力を伝えて投げていくものだ。すべてがそうではないが、重心に後ろにかかりすぎてしまい、力の伝達が悪くなっている時がある。この動きの弊害は最後のフィニッシュに現われており、踏み込んだ左足の膝が割れて体重が乗らず、引っ掛かりが見られた。 下半身主導のフォームに見えるが、ちょっとした弊害があって、勿体ないフォーム。まずはしっかりと一本足で立つことから始めたほうがいいのでは?というのが個人的な見解。そしてスムーズに体重移動に移行していくことができれば、変わっていくはずだ。
更新日時:2011.11.16

将来の可能性

 体格、馬力の大きさは同年代の投手と比べても頭一つ抜けており、それでいて投球の完成度だけではなく、自分で考えながら投球を組み立てていくこともできる。 現時点でも近畿地方を代表する本格派右腕であることは間違いないが、速球の威力とフォークを武器にする割に三振が奪えないのが課題。まだフォームに技術的な課題が多く、投球以外の技術も未熟。取り組まなければならない課題は多く、フォームを修正していかなければ右肩上がりに成長曲線を描くのは難しいであろう。この冬は彼にとって勝負の冬だが、真剣に取り組んでいかなければ変わっていくのは難しい。 現時点の実力と今後の成長を踏まえると高卒プロを狙える可能性はゼロではないと思う。和歌山には智弁和歌山という大きな壁が立ちはだかる。智弁和歌山相手に抑え込み、甲子園出場を果たすことができれば……。プロ入りの可能性は近づくであろう。ぜひ7年間続いている智弁和歌山の優勝を止める存在になれるか注目してみたい。
更新日時:2011.11.16

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