林 正也 (今治西)
- 寸評
- 1年秋の神宮大会で、MAX138キロのストレート、それも非常にビシッとした勢いのある球を投げ込んでいた。しかし年が明けた選抜大会では、すっかりそのストレートも陰を潜め120キロ台のストレート中心。結局最後の夏まで、その時の輝きを取り戻せないまま最後の夏を迎えた。
(投球内容)
以前はもっとゆったり足を引き上げていた感じがしたが、今は足を引き上げる勢いも高さも平均的なオーソドックスなフォームに。球速は、125~130キロ強ぐらいであり、以前の勢いを取り戻せていない。何より以前と変わったのは、球の質。以前は、ビシッとミットに突き刺さるようなストレートだったのが、今は手元で何か微妙な変化を加えているような収まりの悪い球に変化。カーブ・スライダー・チェンジアップなどを駆使し、ボールをコーナーに散らせて打ち損じを誘う。
牽制、フィールディング、クィック等も基準レベル以上で、打撃も好いなど野球センスの高さは健在。一年の頃から主戦として投げてきただけに、マウンド捌きなど洗練されている。ただこの夏の甲子園では、コースを狙った球が微妙に外れ制球に苦しんだ。結局、健大高崎線では、序盤でマウンドを降りることになる。普段は、イニングに対し四死球は1/3程度の彼が、甲子園では2回1/3イニングで4つの四死球を出していたのだから、いかに思い通りボールをコントロール出来ていなかったのかがよくわかる。
(投球フォーム)
それでは、これだけ劣化した原因は何なのか?技術的な観点から考えてみたい。この投手は、引き上げた足を比較的一塁側に落とせている。そのため見分けの難しいカーブやフォークのような縦の変化で、ピッチングの幅を広げて行けるタイプ。実際のその投球を見ていると、そういった球を上手くコンビネーションに織り込んでいる。着地までの粘りもありも、けしてタイミングが合わせやすくはない。
ただグラブは抱えられているものの最後ほどけそうになったり、足の甲の押しつけも押さえつけている時間が短いなど、動作に甘さも残している。その辺が、細かい制球力に多少ならずとも影響しているのかもしれない。それでも「球持ち」も悪くなく、ボールを前で放せている。少し気になるのは、中背でもボールに角度を付けようと言う意識が強いのか?無理に腕を引き上げているところ。これだと腕の回旋がスムーズではなくなり、肩への負担も少なくない。
「着地」までのタイミングは悪くなく、胸を張り「開き」も早すぎることはない。腕もしっかり振れており、「体重移動」も効率的であり、メカニズム的にはもっと速い球を投げてもいいはずだ。現にそういった球を投げていたのに投げられなくなったのは何故なのか?動作を見る限りは、よくはわからない。慢性的に肩痛などの爆弾を抱え、力をセーブせざる得ないのだろうか? - 将来の可能性
- 完全にこの3年間では、伸び悩んだと言っても過言はないだろう。今後、再び元の輝きを取り戻すか、あるいは上のレベルでは高い野球センスを活かして、野手として再起を図るのか?いい状態を知っているだけに、原因が大きな故障によるものではない限りは、投手としての復活を期待したい。ぜひ大学などに進んで、再び輝きを取り戻せる日が来ることを期待してやまない。このままで終わるには、惜しいと言う気がしてならないのだ。
- 情報提供・文:2011.08.07 蔵建て男
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