2010年05月16日 ひたちなか市民球場

横浜創学館(神奈川2位)vs青藍泰斗(栃木1位)

2010年春の大会 第62回関東地区高校野球大会 2回戦

好投した中嶋(横浜創学館)

緊迫の投手戦、延長11回に横浜創学館1点もぎ取りサヨナラ

 前日、 修徳 に辛抱戦の末逆転して逃げ切った横浜創学館。この日も、 青藍泰斗 の好投手関根のキレのいい投球に苦しんだものの、延長戦まで辛抱して11回サヨナラ勝ちを決めた。その結果、 ひたちなか市民球場 は2試合続けて1―0というスコアの試合になり、これも近年の高校野球では珍しいことである。
お互い点が入りそうでなかなか入らないという状態のまま9回まで進んでいった。そして、横浜創学館は先頭の七番島崎が内野安打で出塁しバントで進めサヨナラの好機を迎える。九番遠藤は三塁線に巧みに転がす自らも生きようとしたバントで繋ごうとしたが間一髪アウトで結果的には送ったのみとなった。2死三塁から、チームではもっとも期待出来る井村だったがここは関根投手が投げ勝った。

こうして延長に入っていくのだが、 青藍泰斗 は11回、四球と四番小林の安打で無死一二塁の絶好機を迎える。しかし、ここで宇賀神修監督はエンドランを仕掛けたのだが失敗で、結果として三塁盗塁失敗。

その後四球で1死一二塁となるが、ここで横浜創学館中嶋投手は3―6―3の難しい併殺で逃れた。このあたりで、しっかりと守ることが出来るのは、さすがに神奈川県質の高い野球で揉まれている横浜創学館といえよう。

 そして、その裏横浜創学館は9回と同じような場面を迎える。四球で出た島崎がバントで進んで1死二塁。遠藤はここでも三塁線へバントを転がすが、今度は内野安打となって1死一三塁。一番井村はファーストストライクを積極的に打ちにいって、センターへライナーで打ち返すが、これがサヨナラの犠飛となった。

 熱戦は、こうしてピリオドが打たれたが、もっとああすれば、こうすればという場面もあったではあろうが、好試合だったといっていいだろう。その好試合を作ったのは両投手だった。

 青藍泰斗 の関根は、コントロールと度胸のよさが光った。スリークォーターで投げ込んでくるが、腕もよく振れていた。走者を出していても、思い切りよくどんどんとストライクを投げ込んでくるのだが、その気持ちが相手打者に勝っていたともいえる。

 また、横浜創学館の左腕中嶋は、森田誠一監督が「今日は中嶋の好投に尽きる」というくらいによく投げた。決してスピードがあるというのではないが、抜いたような大きなカーブが有効で、これで打者の目を引いておいてストレートをコースに投げ込んでいく。内野捕手のリードもいいということがいえるのだろうが、配球の妙で抑えていった。

 中身のある投手戦だったともいえる。 青藍泰斗 は最後には犠飛を打たれたとはいえ、横浜創学館の警戒すべき井村、木村、長尾の一、三、四番を16打席で1安打のみに抑えていたのが好投の要因であろう。
森田監督も、「今年は例年に比べてそれほど打てませんから、井村か長尾が何とかしないと勝てないと思っていましたが、最後に何とかしてくれました。ただ、その前の遠藤のバントヒットが効きましたね」と中嶋投手の好投とともに九番遠藤のバントヒットを称賛していた。

 試合途中に、 作新学院前橋商 に敗退したということが知らされ、この時点で栃木県勢は甲子園も含めて、県外の公式戦に14連敗となっていたのだが、この 青藍泰斗 の惜敗でついに15連敗となってしまった。だから、レベルが低いというものではないのだろうけれども、県高校野球関係者としては、やや意気消沈という気持ちは否めないところかもしれない。
 地元紙、下野新聞社の記者連中も勝てる期待感があっただけに、15連敗という事実に肩を落としていた。

(文=手束仁 ) 



栃木県勢、関東大会15連敗

 勝負は1球だった。
11回表・青藍泰斗は無死一、二塁のチャンスを迎える。
打者は5番・行成。
1球目、行成はバントの構えを見せる。
が、カーブが外れてボール。
2球目、ここで宇賀神監督が仕掛けた。
選択したのはエンドラン。
投球と同時に2人の走者がスタートし、打者が打つ。
「試合を動かしたかった? そうです。膠着していたのでね」。(宇賀神監督)

ところが、投球は外角高めに大きく外れるボール球だった。
行成は空振り。
二塁走者の河内は三塁でタッチアウトになった。
「動かしたけどダメでしたね。監督は思い切ったんですが…」。(宇賀神監督)

 1死二塁。
それでも、青藍泰斗は積極的な攻めを見せる。
2球後にまたも二塁走者の小林がスタート。
投球は再び外角高めに外れるボール球で行成は空振りしたが、今度は小林が盗塁に成功した。
その後、行成は四球を選び1死一、三塁。
続く石川は初球攻撃。
当たりはよかったが、そのせいで3-6-3とわたる併殺打となり絶好機を逃した。
 ちなみに、一塁はセーフともアウトともいえる微妙なタイミング。青藍泰斗のファーストが二塁に送球しやすい左投げの長尾だったことも災いした。

 11回裏、好機を逃したすぐ後の守り。
エース・関根が先頭打者を四球で歩かせてしまう。
「ゲッツーで流れがあっちに行ったところで先頭にフォアボール。申し訳ないです」(関根)
犠打で1死二塁となった後、9番の遠藤にはセーフティーバントを決められた。遠藤はここまで4打席中2回がセーフティーバント。警戒していれば防げただけに惜しまれる。
「バントのときはサードと声をかけ合おうと言っていたんですが、いざバントすると2人とも黙ってしまった」(関根)2死三塁と1死一、三塁とでは大違い。
結局、最後は1番の井村にセンターへ運ばれ万事休す。サヨナラ犠飛となり、3時間8分の熱戦に終止符が打たれた。

 この試合、両チームとも何度もチャンスはあった。
だが、勝負を決めたのはたった1球。
宇賀神監督がエンドランをしかけたあの1球――。
あそこでボール球が来たこと。しかも、意図して外したのではなく、たまたまボールが来たことがすべての流れを変えた。併殺打も、微妙な判定も、その裏の守りも……。

 とはいえ、決して無謀な采配とはいえない。
事実、横浜創学館は5回以降、4度先頭打者を出し、すべて送りバントを決めながらあと一本が出ていない。こういう展開で、なおかつ延長に入ると、決定打は生まれにくいものだ。しかも、青藍泰斗は先攻。1点よりも、2点取りたかった。

 試合後、宇賀神監督は苦笑いを浮かべながら開口一番こう言った。
「15連敗? プレッシャーはそこだけ」。
ツキにまで見放された栃木勢。トンネルの出口は見えない。

(文=田尻 賢誉 ) 

(img01~05 写真=手束 仁)
(img06~35 写真=宮坂 由香)


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