2010年03月23日 阪神甲子園球場 

中京大中京(東海)vs盛岡大附(東北)

2010年選抜大会 第82回選抜高校野球大会 1回戦


試合中の一つのプレー・瞬間のジャッジで大きく結果が変わってくるのが野球である。
今大会、松倉雄太が試合を決定づける「勝負の瞬間」を検証する。


1年で培ったもの、そして後輩へ伝える!



 昨夏の覇者・中京大中京が辛勝で初戦を突破した。
 傍目には薄水の勝利。しかし、全国制覇を経験したバッテリーはそこまで感じていなかった。主将の磯村 嘉孝(3年)は「まぁ、こんなものですよ」とあっけらかんとした様子。

 ポイントとなったのは先発のマウンドに森本隼平(3年)を起用したこと。森本はエースだが、昨秋の公式戦と最近の練習試合では2年生左腕・浅野文哉が先発して森本に繋ぐパターンが定番となっていた。盛岡大附としても当然、浅野が先発でくるものと予想していただろう。磯村も「相手は秋と打順を変えてきていた。浅野でくると思っていたのだと思います」と試合後に話している。
 しかし中京大中京の大藤敏行監督は森本を先発に起用した理由を説明してくれた。
「やっぱり経験ですね。浅野が先発ならどれだけ点を取られたかわからない。森本も去年こういう経験をしていますから」。
 現に8回から2番手で登板した浅野は緊張からガチガチになっていた。森本も昨夏の2回戦(関西学院戦)で先発した際に、緊張から不本意なピッチングとなってしまった。そういった経緯を踏まえて、大事な初戦を経験のない2年生に託すわけにはいかなかった。

 その森本だが、降りしきる雨と、ぬかるむグランドに苦しみコントロールが安定しない。球威も昨夏までには戻っていなかった。三者凡退のイニングもあったが、走者を出すとスコアリングポジションまで進められる苦しいピッチング。一つでも気を抜けば、たちまち大量点に繋がりかねないような状況が続いた。
それでも逆転までは許さない。寸前の所で、冷静にピンチを切り抜けた。悪夢のような追い上げを食らった昨夏決勝(日本文理戦)の経験をこういう時こそ生かす。バッテリーの意思を感じた瞬間だった。

 9回に追い上げられ、森本が再びマウンドに上がった場面で、昨夏を思い出した人も多いだろう。インタビューでも記者から再三この質問が飛んだが、磯村主将は言い切った。
「今日の試合なんて、去年と比べれば大したことないです」。
 もの凄い経験をした3年生は逞しい。そしてこれを見て後輩にも伝わってほしい。「浅野も良い経験になったと思います」主将の言葉がそれを象徴している。
 相手の意表を突いたのではなく、初戦を勝つ最も高い可能性からの森本の先発起用。勝負は相手ではなく己だということを見事に示した。

(文=松倉雄太

【関連ニュース】
■ 1回戦 神港学園(近畿)vs高知(四国)
■ 1回戦 智弁和歌山(近畿)vs高岡商業(北信越)

【選抜大会特集】
■ 中京大中京(データ)
■ 盛岡大附(データ)


印刷する  この記事をYahoo!ブックマークに追加  この記事をクリップ!    このエントリーをはてなブックマークに追加 



【関連記事】
第7回 「トレーニング&メンタル」 ~メンタルトレーニング~【技術ノート トレーニング編】
盛岡三vs盛岡大付【岩手県 2011年夏の大会 第93回岩手大会】
盛岡大付vs大船渡東【岩手県 2011年夏の大会 第93回岩手大会】
大垣商vs中京大中京【2011年春の大会 第58回春季東海地区高校野球大会】
第4回 「バッテイングの基礎を知ろう!」 ~スイング実践指導~【技術ノート 打撃編】
中京大中京vs東邦【愛知県 2011年春の大会 県大会】
第3回 2010年度版 高校生ドラフト特集 (下)【ドラフト特集】
第2回 2010年度版 高校生ドラフト特集 (上)【ドラフト特集】
プロ志望届 選手 途中経過07 【ニュース - 高校野球関連】
プロ志望届 選手 途中経過06 【ニュース - 高校野球関連】
全日本選抜vs近大【2010年秋の大会 日米親善高校野球大会】
第18回 大会の見どころ【大会展望・総括コラム】
浅野 文哉(中京大中京) 【選手名鑑】
磯村 嘉孝(中京大中京) 【選手名鑑】
小木曽 亮(中京大中京) 【選手名鑑】
川本 毅(中京大中京) 【選手名鑑】
酒井 勇輝(盛岡大付) 【選手名鑑】
佐藤 翔太(盛岡大付) 【選手名鑑】
白石 猛紘(盛岡大付) 【選手名鑑】
舘下 望海(盛岡大付) 【選手名鑑】
堀井 保裕(中京大中京) 【選手名鑑】
森本 隼平(中京大中京) 【選手名鑑】
中京大中京 【高校別データ】
盛岡大付 【高校別データ】
第82回選抜高等学校野球大会 【大会別データ】

応援メッセージを投稿する