試合レポート

東邦vs習志野

2019.04.03

東邦が個人力、組織力で圧倒し、30年ぶりの全国制覇!

 試合巧者の習志野の上をいく個人力と組織プレーが光った決勝戦だった。まず東邦は1回裏、3番・石川昂弥がバックスクリーンへ2ランを放ち、2点を先制する。さらに打撃好調の吉納翼の適時三塁打も飛び出し3点目を入れる。ただ習志野は2試合続けて1回裏に3点を先制されている。東邦にとっても、習志野にとっても、どちらが1点を入れるかが試合の分け目となっていた。これまで数多くの好投手を攻略してきた習志野だが、制球力抜群の石川を攻略できなかった。またバントミス、走塁ミスも多かった。そしてヒット性の打球を巧みに裁く東邦の守備陣。石川もバント処理を軽快に裁き、投ゴロバント併殺がなんと2つ。着実に習志野を追い詰めていった。

そして5回裏、再び石川。エース・飯塚 脩人が投じたスライダーを逃さず、本塁打を放つ。石川が良い時、手元でボールを呼び込んで軸回転で鋭い打球を打てること。決勝戦ではフォームが崩れ気味だったが、この試合ではしっかりとしたフォームで打てていた。見下ろしている雰囲気もあった。

 石川は連投となっても制球力が落ちる気配が見られない。内野手の堅い守備とポジショニングの良い守備が光った。これはベンチを外れた3年生や練習補助員が中心となって、偵察が生きている。配球や打球の傾向を調べ上げ、そのデータが完成するまで朝の4時に及ぶこともあった。正捕手の成沢は「うまく守れたのはベンチに外れている3年生たちの偵察や支えが大きかったと思います」と感謝のコメント。

 シフトをしっかりと敷いてもその狙い通りにアウトにとれたのは内野手の硬い守備や石川の制球力の高さが生きている。最後まで安定した試合運びを続け、東邦が30年ぶりの優勝を決めた。

 6対0。この5試合で最も完璧だったといえるだろう。習志野も無失策の守備を見せた。ただ石川が凄かったとしかいいようがない。小林徹監督も「完敗ですが、子供たちは決してゲームを諦める様子はありませんでしたし、よく戦っていたと思います」
 習志野の試合を県大会からずっと見続けているが、負けた試合でも、最後まで意地を見せ、やっぱり習志野は怖いなと思うゲームを見せる。これほど成す術なしで敗れ去ったゲームは初めて見た。それだけ石川の能力と勝負強さが傑出していたといえるし、東邦の安定した守備が光っていたといっていいだろう。思えば東邦は広島広陵、明石商といった優勝候補を下して決勝進出している。

 やはり平成最後の王者に相応しいチームだった。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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