村岡 稜選手 (不動岡)
短評
観戦レポートより抜粋(2014年7月10日) 花咲徳栄が敗れる波乱で幕を開けた埼玉大会。大会2日目には不動岡の村岡 稜(3年)が埼玉県では史上45人目となる無安打無得点試合を達成。大記録が生まれた。 ノーヒットノーランを達成した不動岡の村岡。その立ち上がりは実に静かだった。村岡は先頭打者に四球を出す。ランナー二塁と得点圏に走者を背負ったが、ピンチを凌ぎ切った。この時、誰もが無安打無得点試合を達成するとは予想できない立ち上がりである。 村岡は徐々にリズムが乗っていき、新座総合技術打線を抑えていく。 村岡は球速が120キロ前後と決して速くない。だが内外角のコントロールが良く、アウトコースへのコントロールが絶品。変化球も緩く大きく落ちるカーブと打者の手元で鋭く曲がるスライダーがコーナーのギリギリにコントロールできるので、簡単に安打が出来る球が見当たらない。 そしてバックの守りも素晴らしかった。 5回裏、一死一塁から古内 樹泰(2年)が振り抜いた打球はライト後方へ、この飛球をライト・熊倉が懸命に捕球。さらに6回裏にも9番加藤 渉(2年)が捉えた痛烈な一、二塁間への当たりをセカンド・大曲 惇(3年)が逆シングルで追いつき、踏ん張って送球して、間一髪でアウト。見事な守備であった。 味方の守備の盛り立てもあり、9回裏を迎えた。大記録達成が近づいてきた。まず9番加藤を見逃し三振で1アウト。続く1番富永 圭介(3年)は二ゴロで2アウト。 いよいよあと1人。打席には2番井坂 翔汰(2年)を迎える。 そして、村岡は井坂を二ゴロに打ち取り、ノーヒットノーラン達成! その瞬間、村岡はナインとともにまるで優勝が決まったような喜びを見せた。無安打無得点は投手の投球だけではなく、味方がいかに粘り強く守れるかも大事な要素であり、不動岡の守備陣がヒット性と思わせる鋭い当たりをアウトにしたのも大きかった。 また[stadium]越谷市民球場[/stadium]のスコアボードの表示も大きかったかもしれない。この球場はヒット数の表示がされない。表示の有無で精神的なプレッシャーが違ってくる。スタンドのファンがノーヒットノーラン達成を期待するからである。 スタンドの様子を見る限り、ノーヒットノーランにかかっていることに気付いているのは一部の人ぐらいで、スタンド全体がそわそわする様子がなかった。スタンドのそわそわする様子は選手にとって嫌なプレッシャーがあるものである。この試合ではそれがなかったのも、ノーヒットノーランを後押しした一要因かもしれない。 こうして埼玉の高校野球史に名を刻んだ村岡 稜。今日のような緊張感のある投球、守備を次の試合でも実践し、上位進出を目指したい。
更新日時:2014.07.11
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