嶌 直広選手 (智辯和歌山)

寸評

下級生の時から、名門・智弁和歌山の核弾頭として活躍。最後の夏は、4番・遊撃手としてチーム攻守に渡って引っ張ってきました。しかし甲子園では、結果を残せないまま一回戦で敗れました。ボールに合わせる技術に優れ、特に四死球の多さが目立ちます。4番打者ですが、あくまでも四番目の打者といった感じで、後の打者につなぐ意識が強いようです。 　 （第一印象） 　 　身体は大きくないのですが、卓越した野球センスでチームの4番に座っている好打者といった感じです。どちらかというと、気合を入れてとか、強く叩くとかそういった凄みはなく、天性の感覚で結果に結びつけてしまう天才肌。 　 （守備・走塁面） 　 一塁までの塁間を、4.2秒前後で走り抜けるなどプロの基準レベルの脚力があります。実際和歌山予選の5試合では、5盗塁を決めるなど積極に盗塁を仕掛けてきます。昨年レポートした時は、少しプレーに攻めの姿勢が欲しいと書いたのですが、この一年でそういった部分はかなり改善されつつあるようです。　 　 遊撃手としても派手さはありませんが、最初の一歩目が鋭く、プレーに余裕を感じられます。逆にそれが、きわどいプレーでのミスにつながるのも気になります。この辺は、予選の5試合で2失策など、まだまだ安定感に欠けるのかなと思います。地肩の強さも悪くありませんし、もう少し精度をあげたら、上のレベルでも二遊間を担えるポテンシャルは持っているはず。 　 （打撃内容） 　 両足を揃え、スクエアスタンスで構えます。早めに始動して来る選手で、アベレージ打者の傾向が強いです。昨年はもう少し始動が遅く、中距離打者のイメージがありましたが、今年はより出塁を強く意識したプレースタイルに変わってきました。 　 ＜長所＞ 　 昨年の時点で、技術的には殆どいじるところはありませんでした。その打撃は今年も健在で、極めて完成された技術の持ち主です。あとは、教わったことだけでなく、自分の感性でプレーの幅を広げて行くことが求められます。 　 ＜課題＞ 　 昨年も書いたのですが、強く振り切るとか、プレーに上手さだけでなく「強さ」みたいな力強さが出てくると良いですね。まだまだ、センスが勝っている印象は否めません。

将来の可能性

　非常に出塁・つなぎを意識し、4番打者だからといって妙な気負いがありません。逆にその姿勢が、時には積極性に欠けるとも誤解されやすいので、もっともっと欲をもってプレーをして欲しいと思います。走塁などでは、その辺のプレースタイルを変えようという意識を感じましたが、まだ守備などでは不安な面があります。大学などでも活躍して行ける技術はあるので、突き抜ける存在を意識して、その先の世界も見据えて努力して欲しいかと。それでも今後の成長、期待して見守りたいと思います。