一戸 将選手 (弘前学院聖愛)

寸評

　夏の青森予選では、6試合で　2本　11打点　打率.611厘の　大活躍を魅せた　一戸 将。甲子園の玉野光南戦でも、センターバックスクリーンに叩き込んだり、レフト強烈ヒットを放つなど、その片鱗を存分に魅せてくれた。 （第一印象） 　腕っぷしが強く、本当にパワーがあるなぁと強く実感させられます。スイングも大きな孤を描き、フォロースルーを活かしてボールを運ぶ天性の強打者でした。 （守備・走塁面） 　一塁手ということで、あんまり良くわかりませんでした。ただ動きを観る限りは、可も不可もなしといった感じでしょうか。走塁に関しても、タイムを計測する機会は得られず。青森予選の6試合で1盗塁ということでしたが、甲子園では出塁すると、すかさず盗塁を決めていました。そのため、全く動けない選手ではないようです。また投手としても130キロ台のボールを投げ込むということで、地肩も弱くはないのでしょう。将来的には、外野にコンバートされることになるかもしれません。 （打撃内容） ＜構え＞　☆☆☆ 　前の足を少しだけ引いて、グリップは高めに添えます。腰の据わり具合よく下半身にどっしり感がありますが、全体のバランス・両目で前を見据える姿勢は並でしょうか。 ＜始動＞　平均的 　投手の重心が沈みきったところで始動する、平均的なタイプ。ある程度の対応力と長打力をバランス良く兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターが行う始動。 ＜下半身＞　☆☆☆ 　始動～着地までの「間」はある程度とれており、速球でも変化球でもそれなりに対応できるはず。足をまわしこんで、ベース側にインステップして踏み込みます。踏み込んだ足元もブレず、外角の球に対し開きを我慢でき、レフト方向への打撃も可能にします。ただ足のアクションが忙しすぎるので、将来的にはもう少しシンプルなものにして行きたいところ。 ＜上半身＞　☆☆☆ 　打撃の準備である「トップ」の形をつくるのが、少し遅いのが気になります。振り出しもけしてインサイドアウトではないのですし、インステップして踏み込むので内角の捌きには疑問を持ちます。それでもスイング軌道に癖はなく、大きな孤を描きつつフォロースルーを活かして、ボールを遠くに運べる強打者ぶりには目を見張るものがあります。 ＜軸＞　☆☆☆☆ 　足の上げ下げは静かで、目線は上下にそれほど動きません。体の「開き」も我慢でき、軸足にも強さを感じます。軸は安定しているので、あとは動作をシンプルにすることで対応力を高めたいところ。

将来の可能性

　守備・走塁に関しては、正直よくわからない部分も少なくありませんでした。しかし打撃に関しては優れた資質があり、強打者として今後も期待が持てる存在だと思います。こういったタイプの選手は、上のレベルになるにつれ減ってしまう日本球界だけに、彼にはぜひ打力で圧倒して、存在感を示し続けて欲しいと思います。