中村 太亮選手 (別府青山)
寸評
球速は135キロぐらいなのですが、ボールが常に動くクセ球で、高校生には非常に珍しいタイプ。ツーシーム・カットボール・スライダー・カーブ・チェンジアップと多彩な変化球を駆使して、相手の的を絞らせないのがこの投手の身上。 (第一印象) 外の球はカット気味に、内の球はツーシーム的にシュート回転して、非常に打ちづらい。一般的に、こういったクセ球投手は、あまりコントロールがよくなく、中に甘く入ってくる投手が多いのですが、この選手はストライクゾーンの外に外にとボールが散ってゆく珍しいタイプです。 (投球フォーム) お尻を一塁側に落とせないタイプなので、大きな変化よりも手元で小さく変化するボールを得意とします。それでも着地までに、前に大きく足を前に逃すことで時間を稼ぐことができています。 <長所> 腕を強く振れる選手なので、速球と変化球の見分けが難しいです。特に速球を動かすタイプなので、余計にどう曲がるか予測ができません。驚くような球威・球速・キレはないのですが、打者としては狙いが定まりません。 「着地」までの粘りは作れているので、打者からはタイミングは合わせやすくありません。また体の「開き」も早くなく、球筋を早く見極められることもありません。そのため、タイミングが合わされやすいフォームとは、けして言えないでしょう。 <課題> 足の甲の地面への押し付けが浅く、やや上体が高く、速球が抜けることがあります。また「球持ち」もあまりよくなく、指先の感覚はイマイチ。そのため、あまり細かい制球力は期待できません。あくまでも両サイドに、ある程度投げ分けられるといった感じの制球です。 ボールに上手く体重が乗せられていないので、打者の手元まで球が来ません。ただ彼のように、思った以上にボールが来ないのを売りにするのも、動かすタイプの投手だけに、ありなのではないかと思える部分はあります。
更新日時:2012.05.03
将来の可能性
日本の高校野球では、まだ異色の存在だと言える投手です。ただこの投手、ただボールを動かすだけでなく、ボールが外に外に散る球筋であり、また投球フォームも打ちにくさがあるので、その点では大変興味深いものがあります。 こういった投手が、上のレベルでの野球でどんな活躍を見せるのか、個人的には大変興味があります。今後もその動向を、注意して見守って行きたいですね。
更新日時:2012.05.03