中村 奨成選手 (広陵)

中村 奨成

球歴:広陵

都道府県:広島

ポジション:捕手

投打:右 / 右

身長:181.0 cm

体重:78.0 kg

学年:卒業

寸評

 一躍、今年のスーパーキャッチャーとして注目されるようになった中村奨成。[stadium]甲子園[/stadium]では、28打数19安打(大会タイ記録)、17打点(大会新記録)、6二塁打、6本塁打(大会新記録)、2三振、3四球1死球、打率.679、出塁率.719、長打率1.536、OPS2.254と圧巻の打撃成績を残した。そして守備面でも自慢の強肩とフィールディングを披露し、ドラフト1位候補としての評価を受けるようになった。そんな中村のパフォーマンスを振り返ってきたい。 (打撃)  中村のヒットゾーンはストレートは高め・低め、内外角問わず打てる選手。これほど直球に強い選手はなかなかいない。現在、投手の球速も格段に上がっている中、ストレートに強いのは大きな強みとなりそうだ。それをどのコースにも打てるポイントがある。変化球はスライダー系の変化球に強く、スライダー系もしっかりと合わせる。逆に弱いのはカーブ系、フォーク系。これは精度の高い縦変化は、プロでも打てない打者は多いので、どれだけ見極めができるかにかかっているだろう。それは世界大会でのチェックポイントとなるのではないだろうか。  中村の構えはスクエアスタンス。トップの位置は高く、構え方は坂本 勇人を意識しているように感じられる。投手の足が着地する寸前に始動を仕掛ける選手で、始動の仕掛けはやや早めで、しっかりと左足を上げてからまっすぐ踏み込んで打ちに行く。トップの動きを見るとバックスイングを深く取っていき、しっかりと形成する。そこから体を傾けながらインパクトに入る動作は坂本と似ている。インパクトまでロスのないスイング軌道ができており、いわゆるインサイドアウトで振り抜くことができている。下半身の動きを見ると、真っすぐ踏み込んで足元を我慢することができており、うまく軸足の回転と腰回転が連動している。  ただいったんタイミングを外されると、いわゆる手打ちといわれるような下半身が使えない状態となる。中村の場合、両膝をうまく使えているかが、チェックポイントとなるだろう。  最後のフォロースルーを見ると、前へ大きいスイングができており、強打者特有のグリップ位置も高いフォロースルーとなっており、強打者の打撃フォームである。  木製バットの対応だが、この2試合を見る限り、木製バットに打たされている感はなく、しっかりと自分の打撃フォームで直球、変化球には対応できていた。あとはボールを見極めしながら、世界の投手に適応をしていきたい。 (守備・走塁)  キャッチングを見ると、フレーミングを多用する選手で、外角のボール気味の変化球を内側にもっていくことが多い。それでストライクを取ることが多く、この技術を磨いていきたいところ。ワンバウンド処理を見ると、甲子園では後ろに逸らすことが多かったので、それが気になった。世界選手権ではレベルが高い投手陣にどうリードするのか、注目が集まる。 スローイングタイムは常に1.8秒~1.9秒台のスローイングを披露。簡単には盗塁ができず、さらに、バント処理も素早く、猛然と出てきてアウトにする姿はまるで機敏なショートを見ているかのようだ。この動きを見て遊撃手として育てたい球団があっても不思議ではない。  足は俊足で、二塁到達タイムも右打者ながら8.00。二塁盗塁も速く、今までの捕手像を覆す俊足捕手である。
更新日時:2017.08.28

将来の可能性

 打撃はスラッガーというより、好打者。打率3割、本塁打15本~25本は見込める逸材ではないだろうか。コンタクト能力が高いので、技術で30本塁打を打てる可能性はあるかもしれない。スローイング技術はハイレベルで、キャッチング技術はこれから磨く必要はあるが、プロの投手と組むことでだいぶ良くなるだろう。  プロ野球界に絶滅しつつある、本塁打を常に二桁に達し、打率も3割前後残せる強打の捕手へ育つ可能性は秘めていそうだ。  中村の能力、[stadium]甲子園[/stadium]で残した活躍から考え、ドラフト1位の可能性はあり、外れ指名で、競合が多く集まるタイプではないだろうか。世界大会でさらに評価を高められるか。世界大会を見て、プロ1年目でどれくらいのパフォーマンスを残すことができるか、紹介をしていきたい。
更新日時:2017.08.28

短評

観戦レポートより抜粋(2017年8月23日)  広島広陵の3番中村 奨成はこの決勝でも3安打放って大会通算19安打とし、1986年に水口栄二松山商)が達成した記録に31年ぶりに並んだ。イニング間の二塁送球では1回も2秒未満を計測できなかった。それほど疲労がありながらバッティングでは3安打しているのである。この選手は本当にすごい。  1回裏に放った二塁打は綱脇 慧の138キロ、第3打席の内野安打はマウンドに上がったばかりの清水 達也(3年)の投じた146キロのストレートを打ったもので、9回の二塁打は清水の内角へのストレートをレフト線に弾き返したもので、打球の速さや、ヘッドを最短で出していく技術的な高さは、高校生キャッチャーとしては城島健司(元ダイエーなど)以来と言ってもいいだろう。
更新日時:2017.08.26

短評

観戦レポートより抜粋(2017年8月22日)  [stadium]甲子園[/stadium]球場が中村 奨成(広島広陵)一色に染まった感がある。打っても、守っても、さらに走っても、目立つのは中村ばかり。実はこの2試合、イニング間のスローイング(投球練習の最後の球を受けてから行う二塁送球)に大会序盤のような迫力がなくなっていた。さすがに疲れたのかなと思ったが、実戦になると強い。  まず1回表、1死二塁の場面で打順が回ってきた。一塁が空いていることを考えれば四球で歩かせてもいい場面だが、中村良二天理監督は元プロ野球選手である。勝敗も重視するが選手の育成にはもっと力を入れるという傾向がある。たとえば、バントはするが過剰にしない。そういう〝元プロ″の特性を考えれば「松井の5敬遠」のようなことはしないと思っていた。そして天理の先発、碓井 涼太は初球の134キロストレートをど真ん中に投げて、中村はこれをバックスクリーンに放り込んだ。  第3打席は先頭打者として打席に立ち、2ボールからの3球目、今度は外角寄りの134キロストレートを捉えてセンター左のスタンド中段に放り込んだ。体を開いたり、バットを上下動したりせず、外角球を捉えるときはやや体を傾けてボールを捉えにいく。こういうバッティングスタイルはプロ野球の坂本 勇人(巨人)に酷似している。  打つだけではないのが中村のすごいところだ。4対4の5回裏、天理は無死一、三塁で5番城下 力也(3年)がスクイズバントを敢行。打球はホームベース前の小さな飛球になり、これを中村は猛然と頭から飛び込んでダイレクトキャッチしてしまった。「小さな飛球」と書いたが、飛球と言えるような軌道ではない。これをダイレクトでキャッチした中村のほうが異常なのだ。  6対4と2点リードした7回表には2死満塁の場面で打順が回り、高めの132キロストレートをしっかり上から叩いてレフト線を破る二塁打で走者を一掃。このときの二塁到達タイムは私が俊足の目安にしている8.3秒未満の8.26秒。文句なしである。  この日の4安打を振り返ってみよう。第1打席のホームランは真ん中ストレート(134キロ)、第3打席のホームランは外寄りストレート(134キロ)、第5打席の二塁打は高めのストレート(132キロ)、第6打席のセンター前ヒットは外角ストレート。変化球は過去の試合で秀岳館戦の第2打席で川端健斗のベストボール、縦スライダーをレフト前ヒットにしているように強い。そもそも、緊張感の漂う中村のストライクゾーンに変化球を投げ込むのは勇気のいることだ。こんなに3拍子が高レベルで揃っている選手に出会えるとは大会前にはまさか思わなかった。
更新日時:2017.08.23

短評

観戦レポートより抜粋(2017年8月17日)  ここでチャンスメークした中村のバッティングに触れたい。その特徴は構えたときのグリップ位置の高さで、ほぼ側頭部あたりにある。これは花咲徳栄の4番野村 佑希(2年)と同じくらいだ。野村がこの高い位置をキープしたままバットを振るのでその恰好が薪割のようになっているのに対し、中村はトップ(打ちに行く直前の形)のときグリップが肩の位置まで下がるのでバットの振り出し角度が野村ほど急ではない。浅い縦スイング程度、と言っていい。これはバットを振り出すときの理想的な角度である。  第1打席が143キロのストレートを捉えてレフト線への二塁打、この4回には118キロの縦スライダーをレフト前ヒットと、みごと結果に残した。
更新日時:2017.08.18

短評

観戦レポートより抜粋(2017年8月11日) 3番中村 奨成(3年)が142キロのストレートを押し込み、ライトスタンドへ本塁打。香村 篤史の速球は全く悪くなかった。打った中村の技術をほめるしかない。あの右打ち技術はまるで同じ広島広陵OBで、巨人・日本ハムで活躍した二岡 智宏を思い出させる一打であった。さらに抜群の強肩。小林 誠司二世と呼ばれている中村だが、打撃は二岡、肩は小林を彷彿させる選手といったところだろう。またフレーミング技術も高く、中村のキャッチングからストライクにしたボールも数多くあった。総合力とスケールを兼ね備え、そして初の[stadium]甲子園[/stadium]でこの大活躍。ドラフト上位候補として評価を高めた試合となった。
更新日時:2017.08.12

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