渡邉 雄太選手 (いなべ総合)

寸評

　一球一球状況に応じて変化する、巧みなインサイドワークに優れた好捕手。U-18の高校JAPNAのメンバーにも選出された。 （ここに注目！） 　ただ捕る、投げる、打つだけの選手ではなく、非常に頭を使ったプレーができるプレーヤー。捕手に必要な洞察力と考える力には、ぜひ注目して頂きたい。 （ディフェンス面） 　ボールへのタッチが柔らかいキャッチングに、身軽なフットワーク。考えられたリードなど、捕手としての高い資質を感じます。スローイングも捕ってから素早く、地肩も基準以上であり、かつ送球も安定している。プレー全体に凄みは感じられないものの、ハイレベルな野球でも順応して行けそうな、幅の広いリードが魅力。 （打撃内容） 　けして長打力で魅了する強打者ではないのですが、右方向にも打ち返すなど技術の高さを感じます。 ＜構え＞　☆☆☆☆ 　両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰は適度に座り、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスなどにも優れている。アゴを引いて、打席での高い集中力が感じられる。 ＜始動＞　平均的 　投手の重心が沈みきったときに動き出す、平均的な始動。ある程度の確実性と長打力を、バランスよく兼ね備え、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる。 ＜下半身＞　☆☆☆☆ 　足を引き上げ回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動～着地までの時間はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいタイプ。踏み込んだ足元はインパクトの際に開かないので、外角の厳しい球や低めの球にもついてゆけます。 ＜上半身＞　☆☆☆ 　打撃の準備であるトップを作るまでも自然体で、特に力みは感じません。ただしトップを作るのが、遅れないことを注意したいところ。バットの振り出しは少し遠回りであり、内角の球に対しては素直にバットが出てこない側面も。 　それでもインパクトの際にはヘッドが下がらず、広い面でボールを捉えて叩けています。そのためしっかりタイミングさえ合えば、打ち損じの少ないスイングではないのでしょうか。けしてフォロースルーでボールを遠くに運ぶとか、スイングの弧が大きく強烈な打球を生み出すとか、そういった破壊力抜群の強打者ではありません。 ＜軸＞　☆☆☆☆ 　足の上げ下げはありませんが、目線が上下動しないのは良いところ。身体の開きは我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びています。

将来に向けて

　捕手としてのセンスも感じますし、打撃の対応力も悪くありません。高校からプロといった凄みは感じませんが、大学などで段階踏みながら成長を続けて行って欲しい選手。そうすれば自ずと、その上のレベルも見えてくるのではないのでしょうか。

短評

観戦レポートより抜粋（2016年8月14日） 2、30年前、来日したメジャーリーグ選抜のキャッチャーが座ったまま二塁に送球するというので話題になったが、いなべ総合のキャッチャー、渡邉 雄太（3年）も2回表の攻撃が始まる前のイニング間で座ったまま投げた。そのタイムはというと1.98秒。これに毒気を抜かれたのか、山梨学院の盗塁はゼロ。作戦の1つを消滅させた殊勲者と言っていいだろう。