富山 大志選手 (石見智翠館)

寸評

　1年生の頃からレギュラーとして活躍し、2011年度の島根を代表する強打者に成長した　富山 大志。そんな島根屈指の強打者の、最後の夏をみた。 （守備・走塁面） 　背番号9を付けてましたが、私が観た夏の島根大会では左翼を守っておりました。不慣れなポジションだったのか？打球への追い方や落下点までの入り方には迷いがあり、上手い外野手には見えません。またスローイングを見る限り、それほど肩が強いようにも見えませんでした。 　一塁までの塁間を4.5～4.65秒ぐらいかかっています。これを左打者に換算すると、4.2秒～4.35秒ぐらい。プロの基準から～少し下回る脚力であることがわかります。実際そのプレースタイルを見る限り、一番打者でしたが足を生かすタイプではないように思えます。 （打撃内容） 　やはりこの選手の一番の魅力は、打撃にあるのでしょう。右に左にセンターへと強い打球をはじき返しますが、基本はショート方向に引っ張る打撃を好みます。それもボールが上がるタイプではなく、強い打球がゴロで飛んで行くことが多いのではないのでしょうか。 ＜構え＞ 　前足を軽く引いて、グリップを高めに添えて構えます。腰の据わり具合が浅く、全体的なバランスもイマイチ。ただ両目で前を見据える姿勢は悪くありませんでした。もう少し構え全体に、まとまりが出てくると良いですね。 ＜始動＞ 　早めに始動して来る選手で、典型的なアベレージ打者なのがわかります。バリバリの強打者のイメージがありますが、本質は率重視の打者のようです。 ＜下半身＞ 　足を引き上げて降ろす「間」があるので、いろいろな球に対応できます。実際ストレートでも変化球でも、ヒットに結びつけていました。少しアウトステップして踏み込むので、体を開いて引っ張る打撃を好みます。また強く踏み込むタイプなので、タイミングを上手く図るというよりは強く打ち返すことを重視しています。また踏み込んだ足元もブレないので、真ん中～高めの球ならば、外角でも引きつけて右方向に打ち返すことができそうです。 ＜上半身＞ 　打撃の準備である「トップ」を作るのが遅れ気味です。そのため速い球には、少し立ち遅れる可能性があります。またバットは上から振り下ろされているものの、体から離れて出てきており、インパクトまでにはロスを感じます。ただ大きな弧を描きながら、フォロースルーも結構使えており、実際には結構長打もあるのかもしれません。 ＜軸＞ 　足の上げ下げを行う割には、頭の動きが小さく目線は安定しています。体の開きも我慢できていますし、軸足も大きく崩れません。波の少ない、安定した打撃が期待できるのではないのでしょうか。課題は結構あるのですが、トップを作るのが遅れないこととスイング軌道の改善にあるようです。

将来の可能性

　　ボールを捉える能力には優れたものがありますが、まだそれを結果に結ぶつけるだけの技術に課題があるようです。また守備・走塁には際立つものがなく、今後の課題ではないのでしょうか。大学などに進んでも、野球を続けて行ける素材だと思います。ぜひ課題を克服して、頭角を現して欲しい一人ですね。これからの活躍を期待して、今後も見守って行きたいです。