船越 涼太選手 (市立柏)

寸評

１年秋からショートストップとして出場してきた船越涼太。リストの強さを活かした強打と軽快な守備には定評はあったが、どちらも安定感が欠ける内容で、攻守ともに粗がある選手と評してきた。今年は攻守ともに力量を伸ばしたことで、精神的な成長も見られ、安定して実力を発揮できるようになった。エース森をチェックしている中、彼のキレのあるプレーに目が留まったスカウトは実際にいる。習志野の宮内和也にライバル心を燃やす県屈指のショートストップを取り上げていきたい。 (打撃) 松戸国際戦では5打数4安打1本塁打3打点の活躍を見せてくれた。第1打席は外角に落ちるチェンジアップをセンター前ヒット。第2打席はアウトローのストレートをレフト前ヒット。第3打席は真ん中低めに入る変化球をレフト線ツーベース。そして9回に放った本塁打は低めのストレートをしっかりと振り切ってレフトスタンドへ運んだ。本塁打連発する選手ではないが、真芯で打てればスタンドインさせるパワーを持っている。 スタンスはスクエアスタンス。グリップを高めに置き、引き手を予め引いて構えている。昨年よりも構えが落ち着いてきたし、集中力も高くなってきた。投手の足が着地する寸前に始動を仕掛けていき、足を小さく真っ直ぐ踏み込んでいく。ぎりぎりまで引き付けて打つスタイルである。昨年は踏み込む際にヘッドアップしてヘッドが下から出る傾向がみられたが、今年はその傾向が少なくなり、真っすぐ投手に正視することができている。トップはしっかりと捕手側方向へ引いていき、振り出していく。この選手のミートポイントは低め。以前から低めに強いと思っていたが、本人も低めは得意と話す。ストレートも、変化球も、膝を使いややアッパースイング気味のスイングで拾っている。この選手はスイングが鋭いだけではなく、狙い球に対して確実に捉えることができるミートセンスの良さがある。そのミートセンスの良さはプロのスカウトも褒めていた。またしっかりと振り切っているので捏ねることなく、打球が一伸びするのも見逃せないポイントだ。打球の傾向としては引っ張り傾向が強く、もう少し右方向の打球が増えるといいだろう。 (守備・走塁) 打撃以上に上達したのは守備である。打球に対する反応が実に良くなった。三遊間の深いゴロもノーステップはできない、短いステップで力強いスローイングが出来る運動神経の高さがある。昨年は腰高ですべてシングルで捕りに行く癖があったので安定性を欠ける守備だったが、本人は「低く入ること」を意識し、だいぶボールに対して低く入ることができて、安定性が増した守備になった。スローイングもだいぶ強くなった。 塁間タイムは4.40秒前後と右打者としてはまずまずのタイム。脚力はある選手だが、積極的に盗塁を仕掛ける選手ではないので、もう少し盗塁に対する意識が高まってくるといいだろう。

将来の可能性

昨年よりも打撃・守備ともに安定性が高まり、着実に成長を見せた姿を見せてくれた。私が見た試合だけではなく、複数の試合で活躍を見せているようでコンスタントに実力を発揮できるようになってきた。ショートとしての筋の良さは千葉県でも高いレベルに到達していると評価する。高卒プロタイプではないものの、大学でしっかりと実力を磨き、さらに成長が見られれば面白い選手に成長することは間違いないだろう。