泉澤 涼太選手 (習志野)

泉澤 涼太

球歴:習志野

都道府県:千葉

ポジション:投手

投打:右 / 右

身長:182.0 cm

体重:77.0 kg

学年:卒業

寸評

 習志野のエース泉澤 涼太。以前までは素質だけで投げている印象だったが、春の関東大会では不調ながらも投球をしっかりと組み立てて打者を抑える投球をしていた。球速、球威といった目に見える部分は伸びていなかったが、内面の成長はしていると評価した。 だがプロから評価されているのは投手ではなく、野手であった。東海大甲府戦で放ったホームランがプロのスカウトに目がとまったようだ。筆者もそのホームランを見たが、フォローが大きく、鋭いスイングから放たれる放物線を描いた打球は圧巻であった。しかし私は投手としてしか見ておらず、長打力も一番の長所ではなく、付録の意味合いで見ていた。 プロのスカウトが注目しているなら打撃もチェックを入れなければならない。この夏は初めて泉澤の投打を注目してみた。じっくりと見るとプロのスカウトが高く評価する打撃は習志野の選手の中では飛距離も、技術的なモノもNO.1であることが分かったのだ。今思えばホームランを見せてくれたのは泉澤と宮内 和也しかいない。投手としての筋は悪くないが、野手として育成するのも間違いではない。投打に大きな可能性を持った泉澤涼太を取り上げていきたい。 (投球スタイル) ストレート 144キロ 常時135キロ~140キロ スライダー 120キロ前後 カーブ 115キロ前後 チェンジアップ 120キロ前後 直球はコンスタントに140キロを計測。今年の春まで130キロ中盤~140キロそこそこであったことを考えると、ラストサマーへ向けて球速を伸ばしてきたことは評価できる。変化球はスライダー、カーブ、フォーク。フォークは3年からマスターし始めたようで、子の球で三振を奪うようになってきたが、純粋なフォークではなく、やや縫い目の位置を変えて握り、シンカー気味に落ちていくフォークだ。だいぶ変化球のコントロールは良くなり、投球の軸というのは出来てきたと思う。 ただストレートが高めに抜けることが多く、そこが難点。ストレートが高めに抜けることは一度、二度ではなく、たびたび見られる。高めに抜ける傾向を見て球団がどう判断するか。私はこの課題は修正できると思う。 (打者の攻め) ・右打者 外角中心にストレート、スライダーを投げ分ける配球。打者によってインコースを執拗に攻めることができており、横を使う投球はできる。決め球としてチェンジアップを投げていたが、このチェンジアップを決め球として確立したいところだ。 ・左打者 外角中心にストレートを投げ分けていくが、こちらも内角を結構攻めていく。結構横の変化を使う投手で、昨年に比べるとインコースへ攻める比率が高くなってきた。 右打者も左打者も両サイドへ突く投球を身上としている。横の配球を使うが、縦の変化は少ない。チェンジアップを混ぜているが、あれを決め球として使えるようになると大きいだろう。昨年まで何となく投げているような感じではあったが、横の揺さぶりを使うようになり、少しずつ投球の軸というのは確立してきた印象はある。 (投球フォーム) 均整の取れた体格に、綺麗な投球フォーム。でも用いる力をしっかりと伝えられていないフォームであり、未完成のまま高校野球を終えた。 ランナーがいなくてもセットポジションに入る。ゆったりと左足を上げていき、軸足は真っすぐ立つことができている。このバランスの良さは初めて見た時から光っていた。二塁方向に足を送り込んでいき、膝を逃がしていき、着地していく。重心を下げており、軸足にしっかりと体重を乗せることができており、溜めを意識することができている。下半身の使い方は悪くない。 左腕のグラブの動きを見るとやや正対するようになったか。開きは早く、出所は見やすい点は変わらない。テークバックをコンパクトに取っていき、しっかりと肘を上げることができている。また左腕をうまく使って、壁をしっかりと保っているので、体全体を使ったフォームにつながっている。良いフォームはしているが、たまに手投げになってボールが抜けてしまっている。テークバックの小さい投手にありがちな欠点で球持ちや制球などを意識して、全身を使って投げる意識が何処か消えている。体格はしっかりしているが、下半身の筋力は弱く、力を伝えることは出来ていないのだろう。この欠点は意識次第で改善することはできると思っている。 フォームに大きな癖は見当たらず、「開き」と「体重移動」を見直すだけだろう。あとは弱い部分を強化することができれば、150キロ台に到達するのも時間の問題である。 (野手・泉澤)  今度は野手・泉澤に注目してみたい。冒頭で述べたとおり、習志野の中では技術的なモノも、飛距離もNO.1であると述べた。やや疑って見ていたところはあったが、打者としての素質は本物だ。  スタンスはスクエアスタンス。グリップを肩の位置に置いて背筋を伸ばして構えている。ベース寄りに立っている。腰が据わっているし、どっしりと構える姿には雰囲気を感じさせる。投手の足が降りたところに合わせて足を高く上げて真っすぐ踏み込んで打ちにいく。  トップの動きを見ていくと捕手側方向へ引いていき、しっかりとトップを作ることができている。ヘッドの滑り出しは良く、インパクトまでロスすることなく振り抜くことができているのは高く評価できるし、ヘッドスピードの速さ、押し込みの強さは素晴らしい。下半身の動きはしっかりと踏み込んだ足を踏ん張ることはできており、膝の開き自体は抑えることが出来ている。  フォロスルーも大きく、フォロスルーの大きさによって打球を遠くへ運ぶことができている。目線のブレも小さく。軸もしっかりしている。実戦経験が少ない中、タイミングをしっかりと測れずに打ち返すのは難しいと思うが、上手く順応していると考える。  打撃の完成度は予想以上に高かった。スイングの速さ、押し込みの強さ、インパクトの強さ。大きな癖もなく、打者としての見込みのあると評価したい。ただ守備・走塁のレベルが高くなく、金属から木製に道具が変わることを踏まえるとまっさらな状態からスタートしなければならない。そうなるとプロで使える野手になるには5年もかかると予想する。5年もかけて育てる気概がある球団ならば野手として獲りに行くべきであろう。
更新日時:2011.09.21

将来の可能性

 投手としても、野手としても完成度は高いように見えて、発展途上のところがあり、成熟させるには上の舞台ということになるだろう。個人的にはどちらでも大成する可能性はあり、彼をどちらにするかは球団の方針に任せたいと思う。プロ志望届けを出すかは微妙な立場だが、出したら下位で欲しい人材だ。個人的な考えとして打者で行きたいならば高卒で行くべきだ。  投手としてならば大学・社会人を経由しても遅くはない。しっかりと体づくりを行い、その上で投手としてのスキルを高めて3,4年後のプロ入りを狙っていく選択肢でも構わないだろう。私はこの男を習志野高校の中で最もプロ入りが近い男と評価している。プロに進むか否かは定かではないが、次の進路では恵まれた素質を開花させることを期待している。
更新日時:2011.09.21

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