伊藤 翼咲選手 (藤枝明誠)

寸評

　1年秋から4番に座り、高校通算25本以上を記録する強打者。高い身体能力を兼備し、2016年度の静岡を代表する強打者として期待されている。 （第一印象） 　強打者でありながら、レフト方向へ綺麗に流す打撃を得意とするなど、器用さを兼ね備えている。 （守備・走塁面） 　残念ながら、全力で走り抜けた時のタイムが計測できず、実際どの程度の走力があるのはわかりません。現在はチーム事情で一塁を守っていますが、三塁や外野を守ることもできるとのこと。本人もスローイングに自信を持っており、三塁の守備が一番好きだという。 （打撃内容） 　右に左にセンターへと、どの方向にも打ち返す広角打者。 ＜構え＞　☆☆☆ 　前の足を引いた左オープンスタンスから、グリップの高さは平均的。背筋を伸ばし、全体のバランス、両目で前を見据える姿勢は並ぐらい。 ＜始動＞　平均的 　投手の重心が下がりきった底のあたりから動き出す、平均的な始動。これは、確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者とポイントゲッターに多く観られる始動。 ＜下半身＞　☆☆☆☆ 　足を上げて回し込み、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動～着地までの間はそれなりで、速球でも変化球でもそこそこ対応。アウトステップするように、内角よりの球に意識があります。それでも踏み込んだ足元がブレないので、外角高めの球や甘めの外角球ならば、苦になく打ち返せます。 ＜上半身＞　☆☆☆ 　打撃の準備であるトップを作るのは自然体で、リストを柔らかく使えています。振り出しは、けしてインサイド・アウトの軌道ではなく、むしろ外角の球をきっちり叩くスイングに。バットの先端であるヘッドも下がらず、広い面でボールを捉えることができ、打ち損じの少ないスイング。ボールを捉えてからも、大きな弧を描きつつ、最後まで振り切ります。 ＜軸＞　☆☆☆☆ 　足の上げ下げはそれほど激しくなく、目線の上下動の動きはそれなり。体の開きも我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定。軸を起点に、綺麗に回転できています。

将来に向けて

　大型の選手ですが、技術的には高いものがあります。懐を開けてスイングをするのは、内角を好むというよりも、腕が長すぎて苦手な内角球に対しうまく対処しようとするためなのか？ 　スカウトへのアピールとなると、三塁ができることが大きなアピールとなるが、そういった機会に恵まれるだろうか？　いずれにしても2016年度の東海地区を代表する、野手の一人。期待して、これからも見守ってゆきたい。