熱中症予防の指標WBGTについて
熱中症対策に気温だけではなく暑さ指数(WBGT)もチェックしよう。
天気予報を確認し、気温によって熱中症への対策を意識している人も多いと思いますが、最近では気温だけではなく熱中症が起こりやすいかどうかの判断基準となる暑さ指数(WBGT)を一つの目安とすることがスタンダードになりつつあります。
《暑さ指数(WBGT)とは》
人間の温度調節に影響が大きいとされる「気温」「湿度」「輻射熱(ふくしゃねつ)」の3つを取り入れた指標です(輻射熱とは地面や建物・体から出る熱のことで、温度が高い物ほど多く発生します)。屋外で日射しのあるときと、屋内にいるとき・屋外でも日射しのないときでは多少計算式がかわりますが、およそ「気温:湿度:輻射熱」=「1:7:2」で計算されます。ちなみに通常の天気予報で発表される気温は一定の気流のもと、日陰で測定されていることを覚えておきましょう。暑さ指数は気温と同じく「℃」で表示され、28℃を超える場合は熱中症になりやすい環境になっているという判断ができます。
《運動時の目安となるWBGT》
運動を行うと体温が上昇して発汗し、脱水やミネラル分の不足などから熱中症を起こしやすくなります。練習前などにWBGTをチェックしておきましょう。屋外だけではなく、屋内で活動する場合においても目安となります。
WBGTが
・31℃以上…特別な場合をのぞき、運動は原則中止を推奨する。特に子供の場合は中止すべき
・28〜31℃…厳重警戒し、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。こまめな水分・塩分補給を行う。
体力レベルの低い人、暑さに慣れていない人は運動を避ける
・25〜28℃…十分に警戒し、積極的に休憩をとること。激しい運動を行う場合は30分を目安として休憩をとる。
・21〜25℃…注意し、積極的に水分補給を行う。WBGT21℃以上では、熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。
・21℃未満…ほぼ安全な環境だが、運動時の水分・塩分補給は必ず行うこと。
環境省 熱中症予防情報サイトより
《WBGTをチェックできるようにする》
最近ではWBGTを測定する熱中症指標計があります。本格的なものであれば7000円程度〜、簡易的なものであればそれよりも安価で購入することが可能です。また正確性は少し劣りますが、スマホアプリには「熱中症警戒計」「熱中症予測計」など、今いる場所の温度などを参考に数値をだす無料アプリなども存在します。このようなものを上手く活用し、スポーツ現場での熱中症予防に役立ててください。
文:西村 典子
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